水素エネ普及へ共同体 カナデビアや山梨県、人材を育成 - 日経GX
山梨県や山梨大学、カナデビアなどが水素エネルギー普及に向けた共同事業体を設立した。
専門家の視点
水素エネルギー普及のための共同事業体設立という発表ですが、注目すべきは「誰が実行するのか」という実行レイヤーの明確化です。産官学連携と聞くと広範な協力体制を期待しますが、実際には山梨県、山梨大学、カナデビアという限られた主体です。ここに実体と物語のズレがあります。物語は「共同体による普及推進」ですが、実体は「特定地域と一企業による人材育成の枠組み」に留まっています。普及には需要創出やインフラ整備など多層の課題があり、現状の体制だけでは実効性に限界があります。 また、隠れた前提として「水素エネルギー普及にはまず人材育成が必要」という因果関係を記事は当然視していますが、技術コスト低減や供給インフラ整備が進まなければ、育成した人材の受け皿が存在しません。時間軸で見ると、人材育成は効果が現れるまでに数年かかる長期的施策であり、普及の足を引っ張る短期的ボトルネック(コスト、安全性、供給網)への対処が同時に求められます。 この構造は、物語先行型の典型的なパターンです。ビジョンは正しくとも、実行手段の規模と実体が追いついていないため、期待だけが先行しやすい状況です。