制度・政策

レポート「GX-ETSとは?」公表 | Climate Integrate

climateintegrate.org 2026-06-09
Jパワー社長がGX-ETSの運用変更と石炭火力の延命を国に訴えている。本記事はその主張内容を報じている。

専門家の視点

Jパワー社長の主張は、GX-ETSの運用変更と石炭火力延命という、実体と物語の間に構造的なズレが存在する内容です。実体として、日本の電力需給逼迫リスクや既存火力の安定供給価値は確かに存在します。しかし、物語として掲げる「安定供給維持」という目的に対し、石炭火力延命という手段が、GX-ETSの炭素価格シグナルを弱め、結果として脱炭素投資の自律的拡大を阻害するという両立しにくい関係が無視されています。ここには物語先走りの構造があります。つまり、足元の供給不安という実体を根拠に、制度変更なしで延命が実現可能とする説明が先行し、長期の投資家期待や技術転換の時間軸が軽視されています。記事の隠れた前提は「GX-ETSの運用変更は容易に合意される」という点ですが、実際は排出枠の希薄化は市場の信頼を損ない、カーボンプライシングの実効性を大きく後退させます。次の観測点は、経済産業省や他の電力会社がこの主張にどう反応するかです。実体と物語のギャップを埋める制度設計の議論が、日本全体のGX投資の方向性を決める鍵となります。

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