再エネ・技術

バイオマス由来CO2を地域で再利用、住重など山形で調査 - ニュース - メガソーラービジネス plus

2026-06-09
住友重機械工業などが山形県でバイオマス発電から回収したCO2を地域で再利用する調査を開始した内容

専門家の視点

バイオマス発電所のCO2を地域内で回収・再利用する構想は、実体としてはカーボンネガティブ達成の可能性を秘めています。しかし、記事が示す「調査」の段階では、回収コスト、輸送インフラ、需要家マッチングといった実行レイヤーの具体性が欠けています。ここには物語先走りの構造があります──「バイオマス由来だから価値が高い」という説明は正しいですが、CCUS(CO2回収・利用・貯留)全体で見たとき、回収コストは現状の炭素価格を大きく上回るため、経済合理性の実証が先行しなければ絵に描いた餅です。期待も官民で異なり、国は地域循環モデルを推進しますが、現地の事業者は投資判断を保留するでしょう。隠れた前提は「バイオマス発電が継続する」ことです。FIT終了後の発電所の稼働率低下や燃料調達の持続性が考慮されていません。時間軸で言えば、この調査が実証段階に進むのは5年後、商用化は2035年以降と見るのが妥当です。これが「待ったなし」のGXなのか、地域の長期リソース配分の問題なのか、問い直す必要があります。

住友重機械工業は6月4日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「産業間連携によるカーボンリサイクル技術実装推進事業」に採択され、「山形県酒田・庄内エリアにおける地域循環型カーボンリサイクルシステム構築の調査」を開始すると発表した。 カーボンリサイクルの普及に向け、CO2排出者と利用者が連携する「中小規模・分散型」の産業間連携モデルに着目し、地域の特性を生かしたCO2サプライチェーン構築のあり方を調査する。酒田・庄内エリアは、バイオマス発電所をはじめとするCO2排出源に加え、港湾機能や農業・製造業など多様な産業が集積しており、産業間連携による取り組みの検討に適した地域という。 同エリアを対象に、バイオマス発電所から排出されるCO2(グリーンCO2)について、利用ニーズの把握、回収・提供方法の検討、経済性や高付加価値化の可能性を評価する。地域における「グリーンCO2サイクル」の形成を見据え、産官学が連携するロードマップ策定を目指す。 山形県、山形県酒田市、前田製管(酒田市)、東邦アセチレン(宮城県多賀城市)と共同実施する。また、出力50MWの「酒田バイオマス発電所」を運営するサミット酒田パワー(酒田市)および山形銀行が協力機関として参画する。 住友重機械が代表事業者として技術・事業製の検討を中心に全体統括する。山形県および酒田市が地域連携・産業連携および公共工事などでCO2を利用する。前田製管がコンクリートでのCO2固定、東邦アセチレンが液化CO2ガスの流通、サミット酒田パワーがグリーンCO2回収を担当する。山形銀行は地域連携・産業連携で協力する。 住友重機械は、これまで国内外で多数のバイオマス発電所の建設・導入に関わってきた。カーボンニュートラルであるバイオマス由来のCO2を回収・利用した場合、CO2利用者にとって温室効果ガス削減効果が大きいため、バイオマス発電の価値を高めることにつながる。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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