地熱の技術開発に1100億円超 官民投資ロードマップに見る重点政策 - 日経ビジネス
GX重点政策として地熱技術開発に1100億円超の官民投資ロードマップを示したニュース
専門家の視点
地熱発電への1100億円超の投資が発表されましたが、実体として確認すべきは、日本は世界第3位の地熱資源量を保有しながら、開発適地の8割が国立公園内にあり、規制緩和と環境アセスメントの長期化が未解決であるという構造的な問題です。物語では「官民協調のロードマップ」として前向きに提示されていますが、先行する米国やアイスランドと比較して、日本では掘削リスクを民間単独で負う仕組みが不十分であり、実行レイヤーが「誰がいつ掘るのか」という具体性を欠いています。期待については、長期エネルギー需給見通しでの地熱比率目標達成には、現在の認可ベースの30倍以上の開発速度が必要であり、市場と投資家の期待が現実の規制・許認可プロセスに対して明らかに先行している構造です。ここで問い直すべき隠れた前提は、「地熱開発は技術投資さえ行えば進む」という発想そのものです。地熱の本質的な課題は資金ではなく、地下の権利調整と自然公園法という制度の非対称性にあります。今回の投資が実を結ぶかどうかは、開発リードタイムを半減できる制度設計と、環境団体・温泉業者との合意形成に比例します。