再エネ・技術

退役航空機からのCFRPリサイクル NEDO、脱炭素化と資源循環型経済両立に貢献

2026-06-08
NEDOが退役航空機由来のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)をリサイクルする技術開発を進め、航空業界の脱炭素化と資源循環型経済の両立に貢献する取り組みを報じている。

専門家の視点

NEDOが2026年度から着手する航空機CFRPリサイクル事業は、退役機からの大量廃棄が見込まれる2030~45年に向けた「静脈産業」構築を目指しています。実体としては5.4億円の予算で5機関が参画し、解体・再生・基材化の技術開発と二次構造部品への適用実証を行う計画です。しかし、記事は「脱炭素化と資源循環型経済の両立」という物語で語る一方、バージン材比でのCO₂削減効果の具体的数値や、再生CFRPの強度・認証課題、経済的に自立する回収コストの試算を省略しています。また、航空機メーカーやリース会社といった主要利害関係者の役割や費用負担が不明瞭で、目的(循環型社会)と手段(技術開発補助)が倒置している印象です。「サプライチェーン構築」と掲げながら、実際は部分的な技術実証に留まる可能性が高く、事業化までには規模と効果の大きなギャップが残ります。日本企業やGX人材は、こうした国家プロジェクトの成果を過度に期待せず、実証段階のリスクと商業化への道筋を冷静に見極める姿勢が求められます。

国立研究解発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、神奈川県川崎市、斎藤保理事長)は、航空機に使われる先端素材「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」のリサイクルに関する『次世代航空機向け静脈産業構築事業』に着手する。退役した航空機からの大量発生が見込まれるCFRPを回収し、再び航空機に活用するまでの一連の仕組み(サプライチェーン)の構築を目指し、廃棄物の削減と二酸化炭素(CO2)排出量の低減を同時に実現し、航空業界の脱炭素化と資源循環型経済(サーキュラーエコノミー)の両立に貢献するとした。 航空業界では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組みが加速している。航空機には、軽量で高強度なCFRPが広く使用され、燃費向上やCO2排出削減に寄与する一方で、運用寿命があり今後2030年から2045年頃にかけて多くの機体が運用を終えると見込まれている。 こうした中、退役した航空機から大量発生するCFRPの回収・再利用に大きな期待が寄せられている。CFRPの原料である炭素繊維(CF)のリサイクルは新品材(バージン材)と比べて製造段階のCO2排出量を大幅に低減できることが近年明らかなっているためで、NEDOでは機体の解体・切断からCFの回収・再生、再利用に至るまでのサプライチェーン構築を目指す。 『次世代航空機向け静脈産業構築事業』は、製品をつくる側の動脈産業に加え、製品から資源を回収し再利用する側の静脈産業を航空分野で新たに構築する取組み。これにより、航空機製造の脱炭素化と資源循環型経済の拡充の両立を図る。 同事業では、リサイクルサプライチェーンの成立条件と課題を明確化し、事業として成立する最適なモデルを検討。その上で、①退役した航空機からCFRPを効率的に回収するための解体・切断技術②環境負荷に配慮したCFの回収・再生技術③再生材料を利用可能な形に加工する基材化プロセス、の技術開発に取組む。 さらに、再生材料の特性評価を行い、航空機の二次構造部品や内装部品への適用に向けた要件定義やテスト機による実証を進める。 『次世代航空機向け静脈産業構築事業/次世代航空機向け複合材資源循環システム研究開発』の実施予定先は、国立大学法人東海国立大学機構、一般財団法人ファインセラミックセンター、SUBARU、ジャコム、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、2026年度予算5億4000万円、期間は2026年度から2030年度の予定。 「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)」開催レポート

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