Daigasグループと日本IBMが共創パートナーシップ--脱レガシーとAIファースト企業へ転換
専門家の視点
この記事は、Daigasグループと日本IBMのパートナーシップを「カーボンニュートラルの社会実装をリードする」という物語で語っていますが、実体はAIを活用した業務効率化とシステム近代化が中心であり、脱炭素そのものへの具体的な削減効果や投資対効果は示されていません。AIによるトレーディング最適化やコンタクトセンターの自動化は、間接的な効率向上には寄与しますが、温室効果ガス排出量の直接削減にどう結びつくかは不明瞭です。また、社内で300人のデジタル人材を育成したとありますが、これがGX人材かどうかの定義は曖昧で、「AIファースト」という手段が目的化し、本来のカーボンニュートラル実現という目的との間にズレが生じています。読者や業界が期待する「いつまでにどの程度のCO2を削減するか」という具体的な成果目標は省略され、代わりに「スピード感」や「変革」といった抽象的な価値が強調されています。日本企業やGX人材は、AI導入を脱炭素効果に直結させる定量的なKPI設計と、技術と環境インパクトの因果関係を明確にする説明責任が求められます。
大阪ガスを中核とするDaigasグループと日本IBMは6月8日、「AIを軸とした次世代ITシステム変革」を目指した共創パートナーシップを締結したと発表した。生成AIをはじめとするデジタル技術が急速に進展する中、Daigasグループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる。 現在、Daigasグループはカーボンニュートラルの社会実装をリードするプレーヤーとなることを目指している。その実現には人口構造の変化やエネルギーシステムの転換といったさまざまな事業環境の変化を見据える必要があるが、とりわけデジタル領域においては近年、AIを中心とした急激な技術進展が続いており、これを積極的かつスピード感をもって活用していくことが重要となっている。 Daigasグループの中核である大阪ガス 代表取締役副社長 最高デジタル&情報責任者(CDIO)の坂梨興氏は「激しい産業変化に対応すべく、われわれはIT領域での目指すべき方向性として、新サービスの創造と業務プロセスの変革を2つの柱として掲げている。例えばお客さま一人ひとりのデータを活用し、それぞれに合わせたマーケティングをする1to1コミュニケーションによる新たな顧客体験の創出などを目指している」と現状について話す。 Daigasグループでは2024年からITツールによる既存業務の変革を始め、社内で約300人のデジタル人材を育成してきた。全社的な生成AIの普及活動として社内コンペティションを開き、業務で使っているAI事例を水平展開するなどの活動も進めている。 しかし、ここ1、2年の技術の進展はすさまじく、あらゆる業務領域でAIの導入を考えなければならないフェーズに入ってきたという。坂梨氏は「AIが人(がやるべき仕事)の部分を代替していくというモデルに変わりつつある。既存の組織や仕事のやり方を、AIを前提として再定義することがこれまでとの大きな違いだ」と現状の認識を語った。 今回のパートナーシップにおいて、両社は大きく3つの領域で検討を進めていく。第一の領域は最新デジタル技術を活用した「お客さまへの提供価値向上」である。AIエージェントなど最新テクノロジーの適用範囲を拡大し、旧来型のシステムについても最新技術の適用が可能なシステム構造へと再構築しモダナイズを進める。 すでに大阪ガスでは、コンタクトセンターにおいて自律型AIの導入や活用を推進中だ。同社 執行役員 DX企画部長の藤井剛氏は「現在はコンタクトセンターのオペレーターがお客さまのご要望にお応えする時に、少しでも早く正確にお答えできるようAIを使っている。また、一部のお客さまからの架電に対して音声で応答する部分にもAIを導入している」と現状のステータスを説明する。 今後はこれをさらに発展させ、顧客に対していつでも正確で早く、摩擦のないサービスを提供できる体制を作る構えだ。藤井氏は「チャットだとお客さまの労力もかかるため、音声で質問に答えたり、もしくはお申し込みなどの業務完結をしたりといったことを想定している」と具体的な将来像を明かした。 また、顧客接点の領域以外にもAIの適用を拡大する。ガス事業特有の業務として、引っ越しなどに伴う開栓や閉栓、法定点検である定期安全巡回など、顧客とのコミュニケーションが発生する場面は多い。 さらに、Daigasグループはガスだけでなく電気事業や通信事業も展開しており、非常に複雑な料金体系やメニューが存在する。これらに対して、顧客が要望するメニューの説明や現在の契約状態を即座に提示するといった用途も想定する。 BtoB領域や事業そのものの運用においてもAIの活用を期待する。代表的なものが液化天然ガス(LNG)や電力のトレーディング業務だ。坂梨氏によれば、さまざまなデータや条件をいかに多く集め、その中から取引の機会を極力増やしていく方向性において、AIとのマッチングは非常に良いという。 藤井氏も「LNGの取引では多様な契約形態やオプション価値、輸送、ストレージなど複雑なサプライチェーンを持っている。従来、人間が考えると1カ月に1つのストーリーしか書けないようなシミュレーションを、AIの力を借りてもっとたくさんの答えを出せないかという用途に使えると考えている」と強調した。 第二の領域は、「インフラ事業者としての安定的な事業基盤のさらなる強化」だ。システム開発においては、人の力だけに頼らず、要件定義やテスト、リリースまでの各工程での作業をAIが主導する環境で行うAI駆動開発基盤を活用する。 日本IBMの知見によりこれを強化し、現行の手法と比べて大幅な省力化と工期の短縮を目指す。システム運用業務についても、これまで蓄積してきた運用ノウハウに加え、作業自動化AIや省力化ツールを掛け合わせることで、業務効率性と運用
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