英国、第7次カーボンバジェット案を公表 2038〜42年に排出87%削減へ
専門家の視点
第7次カーボンバジェット案は、87%削減という野心的な数値目標を掲げつつ、その背後にある「化石燃料市場からの脱却」という物語を前面に押し出しています。注目すべきは、気候変動対策がエネルギー安全保障や経済的利益(雇用100万人、1,050億ポンドの付加価値)と明確に結び付けられている点です。しかし、この物語には「消費者の選択を重視する」というフレーミングがあり、具体的な規制やコスト負担の詳細が省略されています。また、削減目標のベースラインや達成手段を示す「達成計画」は議会承認後の公表とされ、時制が未来にずらされています。さらに、独立報告書の数値はネットゼロ経済全体の経済効果を示すものの、削減努力と経済効果の因果関係は必ずしも明確ではありません。日本企業は、英国の政策がエネルギー安全保障と経済成長を一体化させた物語で内外の支持を得ようとする点を理解し、自社のGX戦略も単なる排出削減ではなく、エネルギー安定調達や競争力強化の文脈で語る必要性が高まっています。
6月2日、英国政府は第7次カーボンバジェットの水準案を公表し、2038〜2042年の温室効果ガス排出量を約87%削減する科学的目標を示した。環境監査委員会と気候変動委員会が支持している。 政府は、イラン戦争による化石燃料価格ショックを背景に、英国を化石燃料市場の変動から切り離し、国内由来のクリーンエネルギーへ移行する方針を強調した。太陽光、蓄電池、電気自動車(EV)などの導入を、消費者の選択を重視しながら進めるとしている。 同日に公表されたEnergy and Climate Intelligence Unitの独立報告書では、CBI Economicsの分析をもとに、英国のネットゼロ経済が2025年に100万人超の雇用を支え、国内経済に1,050億ポンドの粗付加価値をもたらしたと示された。 政府は、クリーンエネルギー移行により、エネルギー安全保障、長期的な光熱費削減、大気改善、雇用創出、自然回復を進めるとしている。2050年までに化石燃料への依存度を現在の約4分の3から約15%へ下げ、今後25年間で約4,450億ポンドの化石燃料支出を回避できる可能性にも言及した。 第7次カーボンバジェットの達成計画は、議会承認後、可能な限り速やかに公表される予定である。 原文:Energy security, jobs and investment boost through climate action日本語参考訳:気候変動対策を通じて、エネルギー安全保障、雇用、投資を促進する。 ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国内外においてサステナビリティ開示の高度化や制度化が進みつつあります。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍開示基準、保証など制度への対応に関連する実務ガイドはこちら>>> ✅業界別の指標の変更点を解説✅SSBJ基準開示との関連性を整理 ✅サステナビリティ情報の範囲対象の考え方✅サステナビリティ情報と財務情報の結合の解説 ✅SSBJ基準における第三者保証とは✅今から企業が準備できる開示準備のポイント
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