米スタートアップGraphyte社のCDRクレジット購入へ | 日本郵船株式会社
専門家の視点
この記事は、日本郵船が米国スタートアップのCDRクレジットを購入する事実を伝えていますが、規模と効果のギャップが大きな課題です。具体的な購入量やCO₂除去量が明記されておらず、投資額や日本郵船の残余排出量に対する寄与度が評価できません。主語は「当社グループ」に留まり、サプライチェーン全体での責任範囲や船主・荷主への費用転嫁など利害関係者の利益が省略されています。また、技術の実証段階や長期貯留の耐久性に関する第三者データが提示されず、将来の計画を現在の成果として語る時制の操作も見られます。日本企業やGX人材は、CDRクレジット購入を単なる脱炭素手段と捉えず、具体量・コスト・実証レベルを検証し、残余排出の定義と削減努力の優先順位を明確にすべきです。
日本郵船株式会社(以下「当社」)はこのほど、米国で炭素除去事業を展開するスタートアップ企業Graphyte(グラファイト)社(注1)と、同社が米国で展開する大規模炭素除去プロジェクト「Loblolly(ロブロリー)」で創出する二酸化炭素(CO₂)除去クレジット(Carbon Dioxide Removal credits、以下「CDRクレジット」)の購入契約を締結しました。 米アーカンソー州で進めている本プロジェクトでは、Graphyte社独自の「Carbon Casting」技術を用い、農林業や木材加工などの過程で発生するバイオマス残渣(注2)を乾燥・圧縮し、炭素を安定した固形物として封じ込めたうえで、環境的に安全な形で地下に長期貯留します。これにより、CO₂を高い耐久性で隔離することが可能となります。また、本プロジェクトにより創出されるCDRクレジットは、第三者機関による測定・報告・検証を経て認証される仕組みで管理されており、高い透明性と信頼性を確保しています。 当社グループは、エネルギー効率の最大化や次世代燃料への転換を最優先に、CO₂を含む温室効果ガス(GHG)の排出削減を進めています。一方で、特に海運業界においては、技術的・経済的な制約により削減努力をしても排出を避けられないGHGである、残余排出が存在します。当社はこうした残余排出に対し、「除去」のアプローチであるCDRを活用することで、2050年GHG排出量ネット・ゼロの実現を目指します。 今後も当社は、2025年に公表した「NYK Position Paper – CDR」(注3)に基づき、さまざまなタイプのCDRを活用することで、GHG排出量削減に寄与する取り組みを推進し、お客さまと共に脱炭素社会の実現を目指します。 (注1)Graphyte社 米国を拠点とする炭素除去企業。未利用バイオマスを加工・圧縮し地下に貯留する独自技術「Carbon Casting」により、耐久性の高いCDRクレジットの創出・販売を行う。 (注2)バイオマス残渣 農林業や木材加工などの過程で発生する未利用の植物由来資源。通常は分解や焼却によりCO₂を排出するが、Carbon Casting技術により長期的に炭素を隔離することが可能。 (注3)NYK Position Paper – CDR 当社が2025年に公表した、CDRをScope1削減と同等の脱炭素手段と位置付ける公式見解。 NYKPositionPaper-CDR_1.pdf 掲載されている情報は、発表日現在のものです。その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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