【イギリス】政府、2042年までにGHGを1990年比87%削減へ。産業競争力強化と光熱費削減
英国政府が第7次カーボンバジェットで、1990年比87%のGHG削減目標を2038~2042年に設定したことを報じている。
専門家の視点
英政府が提示した第7次カーボンバジェットは、2042年までに1990年比87%削減という目標を掲げています。この目標の実体は、既存の排出削減経路を延長した数値であり、技術的には達成可能な範囲と言えます。しかし、産業競争力の強化と光熱費削減を同時に達成するという物語には、構造的な課題が潜んでいます。炭素価格の上昇や規制強化は、エネルギー多消費産業にはコスト増として直撃するため、競争力強化と両立させるには、低コストな脱炭素技術の急速な普及が不可欠です。現状、CCUS(炭素回収・貯留)や水素の商用化は道半ばであり、この物語が実行段階で実体と乖離するリスクがあります。市場の期待は高く、再生可能エネルギー関連株への資金流入が加速していますが、肝心の産業転換を担う人材やサプライチェーンの整備は遅れています。ここには「物語先走り」の構造があり、特に実行レイヤーである企業の設備投資判断が、政策の不確実性によって先送りされる危険性が高いです。