ESG・金融

ストーリーのある人的資本開示。できている日本企業は50社未満 - 日経BP

日経BP 2026-06-03
ストーリー性を持った人的資本開示を実践できている日本企業は50社未満にとどまるという現状を報じている。

専門家の視点

人的資本開示において、ストーリー性を備えた企業が50社未満という実態は、実体と物語の間に明確なズレがあることを示しています。多くの企業が開示書類を形式的に整えている一方で、自社の戦略や人材投資とどう結びつくのかという物語(説明)が欠落しているのです。この背景には、制度導入が先行し、実行レイヤーである現場のリソースや専門人材が追いついていないという構造的な非対称性が潜んでいます。数字を並べるだけでは投資家やステークホルダーは納得せず、物語がなければ開示そのものが形骸化します。ここで問いたいのは、ストーリー性を求める前提自体が、既存の日本企業の報酬体系やキャリアパスとの整合性を軽視していないかという点です。開示の型を整えても、長期雇用や年功序列を前提とした実体が変わらなければ、物語は絵空事に終わります。次に見るべき観測点は、開示例が実際のガバナンス改革や退職率の改善といったKPIに結びつくかどうかであり、この点が不透明な限り、期待先行の評価は持続しません。日本企業のGX人材にとっては、物的資本と人的資本を一体で語る視点が不足していることが最大の課題です。

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