クレジットの司令塔狙うICVCM 森林・再エネにみる思惑 - 日本経済新聞
カーボンクレジットの品質評価を担うICVCMの動きと、森林・再エネ分野への影響を解説する記事。
専門家の視点
ICVCMがカーボンクレジットの品質評価という“司令塔”を自任する構造には、実体と期待の間に明確なズレが存在します。実体としては、森林や再エネ由来のクレジットは既に市場で流通しており、その品質は多様な基準で評価されています。しかし、ICVCMが一律の品質ラベルを打ち出す物語は、この多様性を「低品質と高品質に二極化できる」という前提で組み立てられています。ここに物語先走りの構造があります。実際には、クレジットの有効性はプロジェクトの実施場所や期間、追加性の証明方法に依存し、単一の評価軸で線引きできるほど単純ではありません。市場の期待はICVCMのラベル取得に走りがちですが、ラベルが実質的な炭素削減価値を保証するとは限らないという隠れた前提があります。次の観測点は、ICVCMの基準が実際のプロジェクトの質を本当に改善するのか、それとも認証コストを増やすだけの規制の罠になるのかです。日本企業にとっては、ラベル取得を盲信せず、自社のクレジット調達戦略において複数の品質指標を組み合わせる視点が不可欠です。