マレーシア、2050年ネットゼロへ108億ドルの送電網刷新と太陽光発電への蓄電池義務化を発表 - finance.biggo.jp
マレーシアが2050年ネットゼロ目標達成に向け、108億ドルの送電網刷新と太陽光発電への蓄電池義務化を発表した。
専門家の視点
マレーシアが発表した108億ドルの送電網刷新と太陽光発電への蓄電池義務化は、2050年ネットゼロ目標に向けた「物語」と「実体」の間に明確なズレが存在する構造です。送電網刷新は物理的なインフラ整備であり、技術的・経済的な実体を伴う長期投資ですが、太陽光発電への蓄電池義務化は発電側の調整力を強制する制度です。この二つは時間軸で非対称です。送電網は整備に10年以上かかる一方、蓄電池義務化は即効性を期待されますが、導入後の運用ノウハウや人材が追いつくかは不透明です。マレーシアの電力市場構造は国営テナガが独占しており、競争原理が働きにくいという隠れた前提があります。民間事業者が蓄電池を導入しても、系統接続の手続きや売電価格が制度改革なしに整うとは限りません。ここでの中心的な構造は「物語先走り」です。ビジョンは壮大ですが、実行レイヤーとして誰が蓄電池を設置し、維持し、系統運用と調和させるのかが具体化されていません。日本企業にとっての示唆は、この発表を市場機会と捉える前に、マレーシア国内の制度執行力と人材育成の現状を精査すべきという点です。