【イギリス】WRAP、食品関連企業向けスコープ3プロトコル第3版案公表。LSRやSBTi改訂踏まえ | Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs - Sustainable Japan
イギリスのWRAPが、食品関連企業向けスコープ3プロトコルの第3版案を公表。LSRやSBTiの改訂を踏まえた内容となっている。
専門家の視点
食品関連企業にとってスコープ3排出量の算定は、原料調達から廃棄までサプライチェーン全体に及ぶため、実体としては極めて複雑でデータの不確実性が高い領域です。WRAPが公表した第3版案は、土地利用変化(LSR)やSBTiの改訂を踏まえたプロトコルであり、物語としては「より精緻で整合性のある算定」を目指すものですが、その裏には実体と物語の間に構造的なズレがあります。具体的には、算定手法の精緻化が進むほど、一次データの収集負荷や中小企業の対応コストが増大するという現実があり、これが期待の先行を引き起こしています。投資家や規制当局は精緻な報告を求めますが、実際に算定を実行する食品企業の現場ではリソース不足から算定自体が停滞するリスクがあります。このプロトコルが目指すのは標準化ですが、その成否は「誰が一次データを提供するのか」という実行レイヤーに依存します。隠れた前提は、全ての企業が同程度のデータ品質を達成できるという点です。現実には、大企業と中小企業の間でデータ収集能力に大きな非対称性があり、プロトコルが高度化するほど、その差は拡大します。