中部電子会社、豊田通商と脱炭素電気を供給(時事通信) - Yahoo!ニュース
中部電子と豊田通商が脱炭素電気を供給する契約を発表。
専門家の視点
中部電子回路(名古屋市)が豊田通商と組み、自社工場に再生可能エネルギー由来の電気を供給する仕組みを整えたとの報道です。この取り組み自体は実体として、非化石証書の調達や長期契約といった具体的な手段を伴っており、とりわけ「自社の排出量削減」という目的とリンクしています。しかし、物語として「脱炭素電気を供給」と表現される一方で、その電気が本当に追加性を持ち、系統全体の脱炭素に寄与するのかという点は不明瞭です。つまり、実体は進んでいるが、物語が市場や社会に伝える意味づけにズレが生じています。多くの企業が同じ枠組みで証書を購入すれば、供給量が有限な再エネ電源の価格を押し上げ、物理的な脱炭素とは別の歪みを生む可能性があります。期待の面では、投資家や顧客から「やっていて当然」と受け止められやすく、先行する競合との差別化にはなりにくいのが現状です。隠れた前提として、非化石証書の購入が即座に脱炭素価値を生むという暗黙の了解があり、それは制度設計の未完を覆い隠しています。現時点で観測すべきは、この契約が本当に中部電子回路の中長期的な排出量削減行動(設備投資や工程変更)を誘発するのかという点です。