水素大動脈構想実現会議 官民連携 都内で初開催 | 日刊工業新聞 電子版
経済産業省主催の「水素大動脈構想実現会議」が都内で初開催され、官民連携で水素社会実現を議論した。
専門家の視点
経産省が旗振り役となり、水素サプライチェーンを「大動脈」という国家プロジェクト規模の枠組みで捉える狙いは、競争から協調への転換を図る点にあります。実体としては、液化水素やMCHといった運搬技術の実証、供給コスト低減のロードマップ、そして大量導入時の安全規制整備が具体的な論点です。しかし、物語は「官民連携」という協調フレームに偏り、誰がどの事業リスクを引き受け、どの需要家がいつからコストを負担するのかという実行レイヤーが曖昧です。欧州や中東との国際競争で日本が後れを取るという危機感を背景に、会議はスピード感を演出しますが、水素の供給側と需要側のマッチングには時間差が生まれます。現時点で期待が先行しているのは政策サイドであり、電力・ガス業界や重工業の投資判断は現実的にコストと規制の見通しを待っています。この構造的なズレは、物語が先行する「ビジョン会議」に陥るリスクを示しています。次の観測点は、この会議で掲げられた数値目標やKPIが、次の補助金や規制改革に具体的に紐づくかどうかです。