企業の「人権」「不平等」などに関する財務情報開示「TISFD」、報告枠組みの草案が公開に:ESGの「S」の取り組みにフォーカス - Yahoo!ニュース
企業の「人権」「不平等」などの社会的側面に関する財務情報開示枠組み「TISFD」の報告草案が公開された
専門家の視点
TISFDの草案公開は、ESGの「S(社会)」分野における情報開示の制度化が加速していることを示す事実です。しかし、ここで注目すべきは、開示枠組みが実体としての企業の社会的影響をどれだけ正確に測れるかという点です。「人権」や「不平等」といった概念は、CO2排出量のように数値化が容易ではありません。このため、草案の段階では、何をどの指標で測るかという「物語」の設計が先行し、現場でのデータ収集や検証の仕組みという「実体」が追いついていないのが現状です。特に、サプライチェーン全体での人権デューデリジェンスの実行は、中小企業を含む多くの事業者にとって負担が大きく、開示の質にばらつきが出る可能性があります。この構造は、物語先走りのリスクを内包していると言えます。隠れた前提として、開示さえすれば投資家が適切に評価するという市場の効率性が疑われます。実際には、複雑な社会情報を投資判断に反映できる運用体制が整っているかは不透明です。次の観測点は、草案から最終版への改訂過程で、指標の具体性と検証可能性がどこまで高められるかです。