EU「カーボン国境調整メカニズム(CBAM)」での日本、カナダ等4カ国の排出削減効果は、EU単独のETS削減よりも世界全体の排出削減量を73%増加。「気候クラブ効果」。独研究機関(RIEF) - 一般社団法人環境金融研究機構
EUのCBAMにより日本など4カ国が参加する「気候クラブ効果」で、世界全体の排出削減量がEU単独のETS削減より73%増加するという独研究機関の分析結果。
専門家の視点
EUが導入するCBAMにおいて、日本やカナダなど4カ国が同様の制度を導入した場合、世界全体の排出削減量がEU単独の排出権取引制度(ETS)と比較して73%増加するという試算が示されました。これは「気候クラブ効果」として、特定の国々が協調して炭素価格を導入することで、域内生産拠点の移転による炭素リーケージを抑制しつつ、排出削減を加速できるという物語です。 ここでの構造的論点は、実体と物語の間に複数のズレが存在することです。第一に、試算はあくまでモデル上の前提に依存しており、実際の制度設計や執行体制の非対称性が考慮されていません。導入が早くとも、国内産業保護や国際的な制度調整の複雑さが「実行レイヤー」の課題として残ります。第二に、記事が当然としている前提は、「気候クラブ」参加国が全てCBAMと同等の厳格な排出削減目標を持つという点です。現実には、日本の地球温暖化対策計画やカナダの炭素価格制度はEUと完全に一致するものではなく、この前提は期待先行の要素を含みます。 次の観測点は、この研究結果が実際の政策決定にどの程度影響を与えるかです。