岡山・津山市、市有林でJ―クレジット、中国銀行などが地元企業に販売 - 日本経済新聞
岡山市津山市が市有林で創出したJ-クレジットを中国銀行が地元企業に販売する取り組みを報じている。
専門家の視点
地方自治体が所有する森林で創出したJ-クレジットを、地域金融機関が仲介して地元企業に販売するという構造そのものは、炭素クレジットの地産地消の典型例です。実体として、市有林という確かな土地と、中国銀行の販売網というチャネルが存在しており、制度上の欠落は見られません。しかしこの取り組みの本質的な課題は、購入した企業にとっての経済合理性が明示されていない点にあります。クレジットの購入単価や、それを上回る販促効果やESG評価の向上といったリターンが示されなければ、社会的な物語としては「地元貢献」という情緒に依存することになり、持続可能性が脆弱です。さらに、J-クレジットの市場価格が現時点で明確な指標を持たず、需給の透明性が低いことも、地元企業が期待できる便益を曖昧にします。ここに「物語先走り」の構造が潜んでいます。「地元の森林を守る」という物語は美しいものの、実体であるクレジットの価格と企業の投資判断が乖離する可能性があります。次の観測点は、中国銀行がこのクレジットの販売単価と、購入企業の実際の投資採算性を開示するかどうかです。