弁当配送に水素トラック ワタミ、実証で気づいた3つの壁 - 日本経済新聞
ワタミが弁当配送に水素トラックを導入した実証実験での課題を3つの壁としてまとめた記事
専門家の視点
ワタミの実証実験で浮かび上がった3つの壁は、水素トラックが「走ること」と「事業として回ること」の間に大きな距離があることを示しています。車両コスト、水素充填インフラの不足、航続距離の制約という課題は、いずれも技術的には解決可能な領域ですが、現時点では経済合理性の壁が物語を先行させている構造です。実体としては、水素トラックの導入台数や充填ステーションの整備計画が限定的であり、配送ルートの設計や運用コストの試算が具体的なビジネスモデルに落とし込めていません。この実証は「可能かどうか」を確認する段階であり、「採算が取れるか」「他社が追随できるか」は未検証です。隠れた前提は、水素がEVより長距離・短時間充填で優位という論理ですが、実際には中小企業や郊外事業者への普及を考えたとき、充填ステーションの配置と運用時間が致命的な制約となる点が軽視されています。この実証の価値は、期待先行の市場が抱える「技術楽観」を事業レベルで検証した点にあり、次の観測点は、この3つの壁に対してワタミが「事業として回す」ための具体的なコスト転嫁や協業の設計を示せるかどうかです。