ESGは絶滅種か 熱狂からアンチ、そして「当たり前」の20年 - 日本経済新聞
ESG投資の20年間の熱狂と批判を経て、現在は企業活動に不可欠な「当たり前」の基準として定着しつつある変遷を振り返る記事
専門家の視点
ESG投資は「熱狂」「アンチ」「当たり前」という三つのフェーズを経て、今や多くの企業がKPIに組み込む標準的な経営指標となりました。しかしこの「当たり前」の裏側には、評価手法の統一欠如と、投資家と企業間の時間軸のズレという実体が潜んでいます。 この記事の物語は「ESGは絶滅していない」という正当な修正ですが、物語はあくまで総論的な受容を強調し、各論での制度疲労――開示基準の乱立やグリーンウォッシュ監視の執行不足――をどれだけ深掘りできているかが構造上の論点です。現状、多くの企業は「やっています」と表明する一方で、脱炭素や人権DDの実質的な進捗と開示の質はまだ乖離しています。 期待のレイヤーでは、年金基金など長期投資家は2020年頃の熱狂から一旦冷めたものの、ESG関連の規制・市場はむしろ拡大しています。ここで隠れた前提となっているのは「企業は自己開示を適切にできる」という想定です。実際には開示人材や検証制度が未整備のままですから、物語と実体の間には依然として「開示制度の執行力不足」というズレが残り続けています。