再エネ・技術

出光興産が核融合の事業化へ知見獲得、米プリンストン大発新興に出資

2026-06-02
出光興産が核融合の事業化に向け米国の新興企業に出資し、知見獲得を目指す。この動きはGX分野における技術多様化の実務上の関心事である。

専門家の視点

出光興産による核融合スタートアップ出資は、将来の技術確保に向けた布石ではあるが、現時点では実体を伴っていません。出資額や技術の成熟度は明らかにされておらず、2030年以降の商業機稼働も楽観的な計画段階です。記事は「CO2を排出しない」「持続可能」といった魅力的な語り口で将来性を強調しますが、実際にはデジタルツイン制御や平面コイルといった理論上の優位性しか示されておらず、実証にも至っていません。このため、読者に早期実用化の期待を抱かせる一方で、研究開発リスクや事業化の不確実性は省略されています。特に「知見獲得」という目的が、実質的な削減効果や投資収益を伴わない、手段と目的の倒置を感じさせます。また、政府の戦略と連動することで、計画を成果であるかのように語る時制の操作も見られます。日本企業やGX人材にとっては、核融合のような長期技術への投資は、バランスシート上のKPI達成だけでなく、技術の社会実装フェーズを見据えた冷静なリスク評価が不可欠です。

インプレスSmartGridニューズレター編集部 2026年6月2日 (火曜) 11:46 出光興産株式会社(以下、出光興産)は、核融合発電の商業化に取り組む米スタートアップのThea Energy Inc(シア・エナジー社)に出資した(図1)。核融合発電に関する技術動向や事業化の知見を早期に獲得するのが狙い。2026年5月28日に発表した。 図1 シア・エナジー社が米国に建設予定の商業発電所イメージ 出所 出光興産株式会社 ニュースリリース 2026年5月28日、「フュージョン(核融合)発電の商業化に取り組む Thea Energy 社に出資」 核融合発電は、水素の一種である重水素と三重水素という2つの軽い原子核が融合する際に生じる、莫大なエネルギーを発電に用いる。CO2をほとんど排出しない点、原子力発電と異なり連鎖反応が起きないため、電源を停止すると反応が速やかに止まる点、高レベルの放射性廃棄物が発生しにくい点から、持続可能なエネルギーの1つとして注目されているという。 今回、出光興産が出光CVC注1を通じて出資したシア・エナジー社は、米プリンストン大学 プラズマ物理学研究所発のスタートアップ。プリンストン大学は、1951年に磁場コイルでプラズマを閉じ込める「ステラレーター装置」を発明しており、同社は同装置に独自の方式を採用している(図2)。 図2 シア・エナジー社が開発するステラレーター装置と磁場のイメージ 出所 出光興産株式会社 ニュースリリース 2026年5月28日、「フュージョン(核融合)発電の商業化に取り組む Thea Energy 社に出資」 ステラレーター装置は連続運転に適している一方で、従来のものは装置設計とコイル形状が非常に複雑で、実用化が困難とされてきた。これに対し、シア・エナジー社のステラレーター装置は取り扱いやすい「平面電磁コイル」を採用することで、設計・保守に関する負担や設備コストを大幅に削減したとする(図3)。また、平面電磁コイルを独自技術で組み合わせ、デジタルツイン技術で制御することにより、高温のプラズマを閉じ込めるための「ステラレーター型磁場」を安定的に形成・維持するという。 図3 ステラレーター装置に用いる平面電磁コイル 出所 出光興産株式会社 ニュースリリース 2026年5月28日、「フュージョン(核融合)発電の商業化に取り組む Thea Energy 社に出資」 シア・エナジー社は、2027年以降に実証機、2030年以降に商業機の建設と稼働を計画している。 核融合発電から得られる電力や熱は、出光興産が社会実装を目指す合成燃料やアンモニア、水素の製造に活用できる可能性がある。さらに、核融合発電で生み出される熱は、産業プロセスへの活用も期待されている。出光興産は、シア・エナジー社の開発状況を継続的に確認しながら、技術動向や事業化の知見を蓄積する。今後は、核融合発電の活用可能性について、シア・エナジー社と共に検討を進める。 出光興産によると、核融合発電は、近年、技術革新により実用化の時期が想定より早まるとの見方が広がり、世界各国で研究開発や投資が加速している。日本政府は「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定し、2030年代に官民連携で発電実証を行うことを目指している。 注1:出光CVC:Idemitsu Corporate Venture Capital。低炭素エネルギーや先進マテリアルといった分野の新技術に戦略的な投資を行うための出光興産の組織。 出光興産株式会社 ニュースリリース 2026年5月28日、「フュージョン(核融合)発電の商業化に取り組むThea Energy社に出資」 IOWNから「AIOWN」へ、NTTのAI新戦略 ― AIネイティブインフラ企業を目指す!― 伸銅品のCFP算定基盤を構築、三菱マテリアル スタートした特定計量制度! ガイドラインに見る「対象となる計量例」と「対象とならない計量例」 タンデム型ペロブスカイト量産へ、政府が2社に94億円支援 PoEによる直流給電:IEEE 802.3af/802.3atからUPOEまで NGNの核となるIMS(2):IMSのアーキテクチャ、インタフェースとプロトコル 電力自由化時代の「調整力」「同時同量」とは? インプレスSmartGridニューズレター編集... 出光興産が核融合の事業化へ知見獲得、米プリンストン大発新興に出資 インプレスSmartGridニューズレター編集... IOWNから「AIOWN」へ、NTTのAI新戦略 ― AIネイティブインフラ企業を目指す!― インプレスSmartGridニューズレター編集... 非FIT・オフサイトPPA向けの小型太陽光開発に195億円調達、クリーンエナジーコネクト

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