企業動向

経営ひと言/村田製作所・安藤正道執行役員「水素社会へ備え」 - 日刊工業新聞

2026-06-02
村田製作所の執行役員が水素社会への備えとして、再生可能エネルギーを活用した水素製造技術の開発の重要性を指摘した記事。

専門家の視点

再生可能エネルギー由来の水素製造技術の開発は、村田製作所のように電子部品需要の不透明感がある企業が、中長期的な事業ポートフォリオを多様化する動きとして理解できます。しかし、現時点でこの発言が示すのは「技術開発の重要性」という理念に留まり、具体的な投資額や実証スケジュール、量産化の目処といった実体は記事から読み取れません。 この構造は「物語先行」の典型です。水素社会という壮大なビジョンは、2050年カーボンニュートラルという政策目標と整合していますが、製造コストや水素運搬インフラの整備状況という物理制約が追いついていません。特に、再エネ由来の水素は現状のグレー水素(化石燃料由来)と比較してコスト競争力が乏しく、村田製作所のような部品メーカーがどこまで自社のコア技術(例えばセラミックや電子部品の水電解装置への応用)で優位性を発揮できるかが不透明です。 隠れた前提は、「水素社会は確実に到来するため、今から備えるべき」という時間軸の固定観念です。実際には、水素需要の立ち上がりは電化が進まない産業分野(鉄鋼・化学)や季節間蓄電に限定される可能性が高く、市場規模の不確実性は大きいままです。

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