制度・政策

【アメリカ】SEC、気候関連開示規則の全面撤回を提案。法定権限超過と負担過大を主張

2026-06-01
米SECが気候関連開示規則の全面撤回を提案。企業負担過大と権限超過が理由で、国際的な気候開示基準を巡る動きに影響する。

専門家の視点

米証券取引委員会(SEC)が気候関連開示規則の全面撤回を提案した背景には、実体としての企業負担と物語としての規制正当性の間に大きなズレが生じていた構造があります。当初の規則は、投資家保護のために気候リスク情報を標準化するという物語を掲げていましたが、発行コストや訴訟リスクといった測定可能な実体が、特に中小規模の上場企業において過度な負担として顕在化しました。ここで重要なのは、SECが法定権限を超えるという主張が、米国最高裁判所のメジャー・クエスチョン法理に基づく審査基準の厳格化という制度的現実と合致している点です。つまり、規制当局が気候変動という広範な政策目標を証券法の枠組みで実現しようとしたこと自体が、法解釈上の無理を生んでいたのです。この決定により期待のレイヤーでは、グローバルなサステナビリティ開示基準の普及プロセスに米国が参加しないリスクが顕在化し、欧州やカリフォルニア州など他の管轄との間で開示の非対称性が固定化されるでしょう。日本企業にとっては、米国市場での開示義務が消滅しても、サプライチェーンを通じた間接的な情報要求は残るため、実体と物語の再調整が急務となります。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る