制度・政策

日本のGX市場拡大へ新制度 補助金の要件に脱炭素製品の調達目標 - 日経BP

2026-06-01
経済産業省がGX製品調達促進のため補助金要件に脱炭素調達目標を追加する方針を発表。

専門家の視点

経済産業省が打ち出したGX製品・サービスの調達促進制度は、補助金優遇をインセンティブに企業の調達行動を変えようとする試みです。実体として、具体的な品目やプラチナグレードなどの評価軸が示されましたが、ペナルティがない自主的なコミットメントに依存する点が弱点です。語られ方としては「需要創出」や「ミスマッチ解消」という前向きなフレーミングが強い一方で、目標未達の際の帰結が不明瞭です。読者や業界は、政府の20兆円投資が実際に市場拡大に結びつくかという期待を持ちますが、調達目標のしきい値(水素・アンモニアで1%など)は低く、規模と効果のギャップが懸念されます。また、過去の「GX率先実行宣言」のグレードを見直しながらも、未達ペナルティを課さない点は、目的(排出削減)と手段(調達目標設定)が倒置し、KPI達成そのものが目的化するリスクがあります。比較基準の恣意性も指摘でき、例えば排出削減率の計算根拠が明確でなければ、企業が都合の良いデータを選択する可能性があります。

馬場 未希=ESGグローバルフォーキャスト 脱炭素政策の対象が、温室効果ガスの多排出企業に対する削減の義務付けから、企業の調達を通じた脱炭素製品の市場形成に広がりつつある。経済産業省は、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進につながる製品・サービスの調達を促進する方針を打ち出した。 同省が2026年5月28日に開催した有識者研究会で、調達を促進するための具体策や、対象となる製品・サービスについて議論した。低炭素や脱炭素型の製品・サービスを積極的に調達する企業を評価する。評価によっては、同省の補助金などの予算活用で優遇する案も示した。 国内の排出量取引制度(GX-ETS)などのカーボンプライシング(炭素の排出に対する課金)の対象となる企業だけでなく、対象になっていない企業にも、サプライチェーンでの排出削減を働きかける制度となりそうだ。 23年に成立したGX推進法の下、政府は32年度までの10年間で20兆円規模の「GX経済移行債」を発行し、調達した資金で研究開発などのGX投資を支援する計画だ。また26年4月には、同法で方針を示したGX-ETSの運用が始まった。GX-ETSの対象となる約300社を中心に、化石燃料からの転換や電化、省エネ・低炭素技術の導入が進めば、発電時や製造時のCO2排出量がより少ない電力やエネルギー、製品が市場に供給されるようになる。支援を受けた技術から生まれる低炭素・脱炭素型のGX製品・サービスの供給も見込まれる。 一方、カーボンプライシングの対象になっていない企業からすると、脱炭素に取り組むインセンティブ(誘因)が働きにくい。調達では機能や価格が変わらず優先され、CO2排出量が少ない製品・サービスの需要拡大につながらない可能性がある。 低炭素水素や、先進的な再生可能エネルギー由来の電力、グリーンスチールといった排出量の少ない製品・サービスは、サプライチェーン全体での排出削減に貢献する。だが、コストが高い割に機能に大きな差がなく、調達や購買での競争力につながっていかないのが実情である。GX製品・サービスの供給が増えても、調達・購買するメリットが薄く需要が増えないミスマッチが生じたままでは、政府や企業による投資が十分に生かされない。 こうした事情から経産省は、企業の調達・購買の評価軸を脱炭素型に変える仕組みの普及を目指す。「GX製品・サービスの供給が立ち上がるのに合わせて、積極的な調達を表明する企業が増えることが重要」(経産省の担当者)という。 需要を創出し、サプライチェーンの排出削減を推進する場として、26年4月に「GXフューチャー・コンソーシアム」を発足させた。23年に発足した「GXリーグ」の機能を一部引き継いだ。GX製品・サービスを調達する意欲のある企業に、コンソーシアム傘下の「GXフューチャー・リーグ」への参加を促す。 GXフューチャー・リーグでは、参加企業に対し、GX製品・サービスを積極的に調達する「コミットメント」と進捗の提示を求め、その取り組みを評価する。また同リーグへの参加要件として、自社の直接・間接排出量の測定や、30年目標の設定を求める。 5月28日に開催した経産省の有識者研究会では、具体的な対象製品・サービスや評価方法について議論した。経産省は対象製品・サービスとして、電気自動車やグリーンスチール、水素、SAF(持続可能な航空燃料)のほか、「次世代グリーンデータセンター」など現時点で36の品目を挙げた(下の表)。同省は24年からGX製品・サービスの調達を促す「GX率先実行宣言」と呼ぶ制度を運用しており、その対象製品・サービスを見直した。 企業には、これらのGX製品・サービスのうち、自社の事業活動に関連するものの調達目標を宣言することを求めていく。さらに一定の要件を満たす調達目標を掲げる企業を、「プラチナグレード」として評価する案を示した。一方で、GX率先実行宣言を掲げた企業に与えていたブロンズ・シルバー・ゴールドといったグレードを見直す。宣言が未達で終わっても、ペナルティは求めない方針だという。 プラチナグレードとして企業の調達を評価する要件として、政府や業界が調達目標を掲げている製品・サービスについては、その目標を満たすことを原則とする案を示した。水素やアンモニアあれば、その企業が特定の用途のために調達している燃料のうち1%を「しきい値」として、それ以上の調達目標を掲げる企業を評価するという。 なかには、政府・業界による調達目標のないGX製品・サービスもある。その場合は、企業が製品・サービスを調達することでどれだけの排出量を削減できるかを示す「排出削減率」や、一定基準以上のGX製品・サービスに投資しているかどうかを示す「GX製品投資額割合」を評価する。 排出削減率についてグリーンス

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