【国際】NGFS、異常気象のマクロ経済・金融影響を説明。GDPや生産性に広範な影響
NGFSが異常気象のマクロ経済・金融への影響を説明し、GDPや生産性に及ぶ広範なリスクを指摘した。
専門家の視点
異常気象の経済的影響という実体は、すでに気候変動の物理的リスクとして検出可能な段階に入っています。NGFSの報告書は、この実体をGDPや生産性の変化という指標で金融当局に翻訳しようとする試みですが、その物語は「いずれ金融システムに影響が出る」という因果連鎖に依存しています。問題は、この因果連鎖の時間軸が中央銀行の政策運営サイクルと整合していない点です。中央銀行は通常2〜3年のフォーキャストで動くため、数十年スパンの異常気象影響を現在の金利や規制に反映させる論理は弱いです。現時点で期待は「警鐘を鳴らした」というアナウンスメント効果に留まり、実証された金融市場の反応は限定的です。ここにある構造は、実体と物語の間に「実証の壁」があるにもかかわらず、物語が先行して制度化された「物語先走り」の状態です。次の観測点は、この枠組みが各中央銀行の気候シナリオ分析やストレステストを通じて、実態としてどの程度の資本コストや貸出態度の変化に結びつくかです。日本企業にとっては、GHG排出量だけでなく異常気象へのサプライチェーン脆弱性の開示が、金融規制上の評価項目になる未来を見据えた準備が必要です。