課題が山積する林業を持続可能な産業へ 林業にチャンスを見出し、改革へ
林業を持続可能な産業へ転換し、カーボンクレジット創出で企業の脱炭素推進と地域経済活性化を両立する事例を紹介
専門家の視点
林業のGX文脈で重要なのは、森林がCO2吸収源として機能する「実体」と、林業を持続可能な産業に変える「実行レイヤー」の非対称性です。国土の約67%が森林を占める日本では、森林保全の技術的・経済的合理性は明確ですが、林業従事者の高齢化や収益性の低さが物理制約として存在します。芦田氏の取り組みは、次世代経営による構造改革という「物語」を掲げていますが、決済システム開発などの具体的な手段が、いつ、どの程度の規模で森林保全や収益改善に結びつくのかが示されていません。ここには「物語先走り」の構造が潜んでいます。ビジョンは壮大でも、実証データやKPIの開示なしには投資家や若い担い手の「期待」を固定化できません。隠れた前提は、林業改革が主として経営者個人の革新に依存している点です。実際には、制度や補助金の執行スピードと現場の人材育成が追いつかない構造的課題があり、経営努力だけでは限界があります。次の観測点は、芦田氏の取り組みが業界全体の再現性のあるモデルになるかどうかです。