日本自動車輸入組合のゲルティンガー剛理事長が会見、電動化戦略と市場の展望を講演
専門家の視点
輸入車業界の電動化戦略を語る講演ですが、その構造には「物語先走り」と「実体が翻訳されていない」という二つのズレが同時に存在します。実体として、輸入EVのモデル数が20車種から174車種へ急増した事実は確かです。しかし、その実体が日本の消費者行動や市場構造にどう翻訳されるかが不十分です。補助金制度の拡充や充電インフラ整備は実体として進んでいますが、それでも消費者がEV移行をためらう理由として、国内メーカーのEVラインナップ不足や航続距離不安、都市部の駐車場・充電インフラ不足が挙げられています。ここに物語と実体のズレがあります。補助金やモデル増の物語は「普及の後押し」として語られる一方、普及の障壁として同じ実体(インフラ不足)が指摘されています。つまり、施策が効果を発揮する手前で実体がまだ整っていない構造です。また、円安という経済の実体が輸入車価格に直撃しているにもかかわらず、講演ではその影響への具体的な対応策が示されていません。これは「実体欠落」に近い形です。
日本自動車輸入組合の理事長でありメルセデス・ベンツ日本CEOを務めるゲルティンガー剛氏が18日、日本外国特派員協会で講演と記者会見を行い、日本における輸入車販売の現状と今後の戦略について語った。同組合は設立から60年以上の歴史を持ち、現在は乗用車やトラックに加えて二輪車もサポートしている。日本市場における輸入車の販売台数は約24万3000台で、市場全体の約5.3パーセント、軽自動車を除くと約8パーセントのシェアを占めている。 輸入車業界における現在の重要な柱として、グリーントランスフォーメーションとデジタルトランスフォーメーションが挙げられる。特に電気自動車の分野では、輸入ブランドが提供するモデル数が20車種から174車種へと大幅に増加し、市場の選択肢を広げている。日本政府の補助金制度も拡充されており、家庭用充電器や高速道路の充電インフラ整備に対する支援が強化されていることが、輸入電気自動車の販売を後押ししている。 一方で、日本における電気自動車の普及には依然として課題が残る。世界的にヨーロッパや中国が電気自動車への完全移行を急ぐ中、日本はハイブリッド車や水素エンジンを含めたマルチパスウェイ戦略をとっている。ゲルティンガー剛氏は講演の中で、日本の消費者が電気自動車への移行をためらう理由として、国内メーカーによる電気自動車のラインナップが少ないことや、航続距離への不安、そして都市部の機械式駐車場や充電インフラの不足を指摘した。 さらに、現在の記録的な円安は輸入車業界にとって大きな打撃となっている。ユーロに対する円の価値が大幅に下落しており、価格競争力を維持するためのコスト削減や業務効率化が急務となっている。また、日本市場における非関税障壁として、法規制の違いだけでなく、消費者が求めるサービスや品質への期待値が極めて高い点も挙げられ、日本でのビジネス展開には多額の初期投資と継続的な努力が必要であると強調した。 中国メーカーの動向については、電気自動車や自動運転の分野で急速な成長を遂げているものの、日本の電気自動車市場自体がまだ小さいため、本格的な普及には価格競争力のあるモデルの投入や市場規模の拡大が不可欠との見方を示した。今後は、多様化するモビリティのニーズに対し、ハードウェアだけでなくソフトウェアによる新たな価値提供が業界全体の鍵を握ることになると締めくくった。 世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
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