IFRSとGRI、ISSB基準とGRIの相互運用性強化を確認
専門家の視点
IFRS FoundationとGRIによる相互運用性強化の共同声明は、投資家向け開示とインパクト開示という異なる目的を持つ二つの基準体系の補完性を確認したものです。しかし、実際の実質的な進展は限定的で、過去のMoUや共同声明の延長線上にある再確認に過ぎません。記事では「包括的なサステナビリティ報告システム」という前向きな物語で語られていますが、具体的な共通開示項目の詳細や実務上のメリットは明らかにされていません。特に、GHG排出量開示でGHGプロトコル(2004)を用いる点は、現在の算定方法との乖離や古い基準への依存が懸念されます。読者の期待する開示負担の軽減や効率化は、依然として将来の課題であり、時制の操作として過去の宣言を現在の成果と位置づける面も否めません。日本企業は、両基準の相互運用性強化を過度に期待せず、自社の開示実務において重複を洗い出し、共通項目を活用した効率的な整理を自律的に進める必要があります。GX人材には、基準の動向を踏まえた実務設計と、投資家と社会の双方に対する情報の質を両立させるバランス感覚が求められます。
5月26日、IFRS FoundationとGRI(Global Reporting Initiative)は、ISSB基準とGRIの相互運用性(interoperability)に関する共同声明を発表した。今回の確認は、2022年のMoU締結、2024年の相互運用性に関する共同声明に続くもの。改めて、投資家向け開示とインパクト開示を補完的に活用できる「包括的なサステナビリティ報告システム」の構築を進める方針を示している。 本声明では、ISSB基準が「企業の見通しに影響を与えるサステナビリティ関連リスク・機会」に関する投資家向け情報を対象とする一方、GRI基準は「経済・環境・人への重要なインパクト」に関する情報提供を目的としていると整理されている。しかし、両基準は異なる目的を持ちながらも、補完的に利用できるとしている。 今後、両者は共通開示項目(common disclosures)の整理・整合を進めることで、開示におけるの「重複・分断・複雑性(duplication, fragmentation and complexity)」の低減を目指すとしている。具体的には、IFRS S2に基づくScope1〜3温室効果ガス(GHG)排出量開示については、GHGプロトコル(2004)を用いた算定により、GRI 102の要求水準を満たすとしている。他にも、GRIに基づく「移行計画」や「気候適応のインパクト開示」は、ISSB基準のS2のリスク・機会開示を補完する関係にあるとも説明している。 両者は今後も、生物多様性関連開示、GRI Sector Standards、SASB Standards、人材・労働関連開示などの領域で連携を継続するとしている。 日本企業にとっては、ISSB/SSBJ対応とGRI対応を別個に進めるのではなく、共通する開示項目を活用しながら、投資家向け開示とインパクト開示を効率的に整理する実務対応の重要性が高まりそうだ。 原文:GRI and IFRS Foundation reaffirm commitment to complementary disclosures ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!欧州・米国の最新基準に対応するための実務ポイントを、具体的なアクションレベルで整理しています。🌍海外開示制度・基準への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅ESRS改訂の全体像✅ESRSの対応ポイント ✅セクター別の主な論点✅SSBJ基準開示での対応ポイント ✅対象企業と実施スケジュールの全体像✅EUDRの簡素化措置の概要および対応ポイント
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