【国際】ISSBとGRI、共同声明。両基準の補完関係を説明。今後も相互の基準策定で協力
IFRS財団とGRIが、ISSB基準とGRIスタンダードの補完関係を説明し、今後の基準策定で協力を継続する共同声明を発表した。
専門家の視点
ISSBとGRIの共同声明は、サステナビリティ報告における「二つの基準」の使い分けに明確な説明を付けたものですが、その本質は「投資家向け」と「マルチステークホルダー向け」という物語のすみ分けです。ここでの構造的論点は、物語が整理された一方で、報告を実行する企業側の負荷という実体が依然として重いままであることです。 両基準が補完関係にあるとされても、企業はISSBとGRIのそれぞれに準拠した開示を求められる場合が多く、実務上は二重の対応が避けられません。物語上は「効率的な報告」を謳っていますが、実際の制度導入や人材育成が追いついていないという「制度・手続きの非対称性」がここにあります。特に、GRIが重視する「影響の重大性」とISSBが求める「財務的重大性」は評価軸が異なるため、統合報告を志向する企業ほど、どちらを優先すべきかという判断を迫られることになります。 この記事が当然としている「両基準の相互運用性の向上」という前提には、隠れたリスクがあります。相互運用性が高まるほど、基準の独自性が薄れ、本来GRIが担ってきた社会課題の可視化機能が弱まる可能性です。