再エネ・技術

陸上風力によるバーチャルPPA、国内で導入相次ぐ - ニュース - メガソーラービジネス plus

2026-05-28
国内で陸上風力を活用したバーチャルPPAの導入事例が相次いでおり、カーボンニュートラル目標達成に向けた再エネ調達手段として注目されている。

専門家の視点

陸上風力のバーチャルPPAが国内で相次ぐ背景には、企業の再エネ調達需要が高まる一方、オンサイト太陽光だけでは充足できないという物理的制約が現実としてあります。風力は出力変動が大きく、電源としての経済合理性が常に確保されるわけではありません。しかし、物語として「カーボンニュートラル目標達成」という大きな目的に沿って、バーチャルPPAという非物理的な契約形態が導入されやすい枠組みで語られています。ここでの構造的な論点は、実体と物語の間に時間軸のズレが存在することです。契約は成立したものの、実際に風力発電が稼働し、想定通りの非化石証書が供給されるかどうかは、建設許可や系統接続といった制度的手続きに依存します。導入意思決定が先行し、実証スケジュールや執行リスクが後追いになる構図が透けて見えます。隠れた前提は、風力発電の立地制約や住民合意といった社会的受容性はクリアされているという点ですが、実際には陸上風力の新規立地は容易ではありません。期待レイヤーでは、投資家や企業の再エネ調達担当者がやや先行し、実体の進捗が追いついていない可能性があります。

東洋鋼鈑(東京都品川区)は、HSE(茨城県日立市)とフィード・イン・プレミアム(FIP)を活用した陸上風力発電によるバーチャルPPA(電力購入契約)を3月27日付で締結した。陸上風力発電所3カ所から生み出される年間18GWh相当の環境価値を取得し、年間約8700tのCO2を削減できる見込み。5月13日に発表した。 バーチャルPPAの対象となる福島県南相馬市の「万葉の里風力発電所」は出力9.4MW、年間発電量1400万kWhを見込み、生み出される環境価値の50%を東洋鋼鈑に供給する。発電事業者はHSEの60%子会社である南相馬サステナジー。 秋田県能代市の「能代港第一風力発電所」は出力1.99MW、年間発電量570万kWhを見込む。「能代港第二風力発電所」は出力1.99MW、年間発電量530万kWhを見込む。両発電所とも生み出される環境価値の全量を東洋鋼鈑に供給する。発電事業者はHSEの51%子会社である米代川風力発電。 親会社の東洋製罐グループホールディングスでは、2030年度にスコープ1・2(直接排出と購入電力による間接排出)の2019年度比50%削減、2050年度カーボンニュートラルを目標に掲げる。また、CO2削減活動としてオンサイトとオフサイトでの太陽光発電の導入を推進し、今回の取り組みを含めて2030年度までに下松事業所で使用する電力量の約25%を再生可能エネルギー由来に置き換える計画。 また、KDDIは、電源開発(Jパワー)およびJパワーの100%子会社で風力発電事業を担うジェイウインド(東京都中央区)と、秋田県由利本荘市にFIPにより新設する陸上風力発電所を用いるバーチャルPPAを3月31日付で締結した。4月21日に発表した。 同PPAに基づきジェイウインドは「岩城二古風力発電所」を新設し、20年間にわたって環境価値を供給する。出力は8.4MW(単機出力4.2MW×2基)で、生み出される環境価値の全量をKDDIに供給する。2026年度上期に着工し、2029年1月に営業運転を開始する予定。 KDDIとJパワーグループの陸上風力発電によるバーチャルPPAは、2024年12月締結の「南大隅ウィンドファーム」(出力19.5MW、運転開始2027年12月予定)、2025年3月締結の「上ノ国第三風力発電所」(出力51.595MW、運転開始2028年9月予定)に続く3件目となる。3件合計で全国のKDDI基地局におけるCO2排出量の約16%に相当する環境価値を調達する。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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