【イギリス】シェル、気候ロビー活動の透明性報告書2025年版公表。排出量取引制度支持
英シェルが気候ロビー活動の透明性報告書2025年版を公表し、排出量取引制度への支持を示した。
専門家の視点
シェルの報告書が示す気候ロビー活動の透明性には、実体と物語の間に構造的なズレがあります。実体として、シェルは排出量取引制度を支持し、各国政府への資金支払いを開示しています。しかし、物語が強調する「透明性」と、シェルが同時に行う化石燃料事業への継続投資という現実が整合していません。期待先行の構造です。市場や投資家は、シェルの報告書を「脱炭素への本気のコミットメント」と受け止めがちですが、ロビー活動の透明性だけでは排出削減の実行力は計測できません。ここでの隠れた前提は「透明性が行動の正当性を保証する」という点です。実際には、開示されたロビー活動が政策形成にどう影響し、シェルの事業ポートフォリオとどう整合するかが問われます。日本企業への示唆は明瞭です。同様の報告書を出す際、物語と実体のズレを放置すれば、透明性を装った「グリーンウォッシュ」と見なされるリスクがあります。次の観測点は、シェルの報告書が具体的な排出削減行動への拘束力を伴うのか、それとも開示で足りるとする自己満足に終わるのかです。透明性の物語に実体が追いつくまで、期待だけが先走る構造は解消されません。