日本製鉄・JFE、長期戦の電炉転換 CO2は1/4も鉄価格4割高 - 日経ヴェリタス
日本製鉄とJFEが電炉転換によりCO2排出量を4分の1に削減する一方、鉄価格が約4割上昇する見通しで、コストと脱炭素の両立が課題となる。この動きは日本の脱炭素戦略に影響を与える。
専門家の視点
日本製鉄とJFEの電炉転換計画は、CO2排出量を4分の1に減らす一方で鉄価格が4割上昇するという実体のトレードオフを示しています。ここでの本質的な構造は「技術的には脱炭素が可能だが、経済合理性が現行の高炉方式と大きく乖離している」という点です。実体として、電炉化によるコスト増は鉄鋼需要家や裾野産業への価格転嫁を不可避免にし、国際競争力の低下リスクを伴います。物語の面では「長期戦」という時間軸の設定がなされていますが、実証段階やスケジュール、具体的な需要家との調整プロセスは未提示であり、物語先行のリスクがあります。期待レイヤーでは、ESG投資や政府の補助金が電炉転換を後押しする一方、鉄価格上昇が自動車や建設業界の脱炭素コストに跳ね返る構造的な矛盾が隠れています。ここで問い直すべきは「電炉化が進めば鉄鋼の国内需要自体が縮小するのではないか」という前提です。価格上昇はユーザー企業の海外調達シフトや代替素材への切り替えを加速させ、結果として日本国内の鉄鋼需要が減少し、CO2削減の絶対量が頭打ちになる可能性があります。