ペロブスカイトなど「次世代型太陽電池戦略」の進捗状況 普及に向けた新施策も
専門家の視点
実体面では、ペロブスカイト太陽電池の量産技術実証や製造装置の開発が一部進みつつありますが、実用化にはまだ数年の時間を要する状況です。一方で物語は、官民協議会で年度ごとのKPIやスケジュールを具体化しようとしており、策定後の進捗確認と新施策の方向性を議題にしています。問題は期待先行の構造で、市場や投資家が早期の普及を見込んで先走りしている一方、制度の執行や人材育成といった実装レイヤーが追いついていない点にあります。 この記事が当然としている、ペロブスカイト太陽電池が既存シリコン系の「置き換え」で普及するという前提には、別の見方が必要です。実際には、軽量で柔軟な特性を活かしたビル壁面やビニールハウスなど、全く新しい市場の創造が主たる用途であり、従来品との競合ではない構造が隠れています。 日本企業への示唆は明快です。戦略の物語が先走り、市場の期待が膨らむほど、実証の遅れが失望を生むリスクが高まります。次の観測点は、この協議会で示される具体的な実証スケジュールの達成度と、製造コストの低減目標の現実性です。物語と実体のギャップを埋める時間は、思いのほか短いのです。
新たな産業分野として、今後の普及と発展が期待されているペロブスカイトなどの次世代太陽電池。その普及促進に向けた方針を検討する次世代型太陽電池官民協議会の第10回会合では、2024年11月に策定した「次世代太陽電池戦略」の進捗や、新たな施策の方向性について議論が行われた。 ペロブスカイト等の次世代型太陽電池において、日本は世界でトップクラスの技術力を有しているが、世界各国との競争は激化しつつある。シリコン太陽電池において国際競争力を低下させた経験を踏まえ、世界に引けを取らない規模とスピードで、量産技術の確立・生産体制整備・需要創出を三位一体で進めるため、「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」では、2024年11月に、「次世代型太陽電池戦略」を取りまとめた。 次世代型太陽電池官民協議会の第10回会合では、同戦略の進捗や新たな施策の方向性について議論が行われた。 次世代型太陽電池戦略において、フィルム型・ガラス型ペロブスカイト太陽電池のコスト目標としては、2030年度までに14円/kWhが可能となる量産技術の確立を目指しており、2040年には自立化水準として10~14円/kWh以下を目標としている。 このような発電コストを実現するためには、変換効率の改善、耐久性向上による稼働年数の長期化、生産規模の拡大によるモジュールコストの低減などが求められる。 このため国は、2030年までの早期にGW級の生産体制を目指した投資支援を行っており、積水化学工業・積水ソーラーフィルムでは100MWの供給設備を2027年度に稼働開始予定としており、追加投資により2030年までにGW級の生産ライン構築を目指している。 また、エネコートテクノロジーズ、リコー、パナソニックホールディングスでは、グリーンイノベーション基金(GI基金)の支援を受け、2030年度までに年間製造能力300MW(フィルム型。ガラス型の建材一体型は200MW)以上の量産体制の構築に向けた研究開発が進められている。 ペロブスカイト太陽電池の量産体制構築に向けては、国内サプライチェーン全体の整備が必要となる。ヨウ素等の主要な原材料、フィルム等の部素材、レーザー加工装置等の製造装置など、特に重要な品目については、国がGXサプライチェーン構築支援事業により、投資支援を行っている。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 建設をエネルギーとICTで変える「BUILT」オープン!! 【特集】改正FIT法で対応必須! 太陽光発電の運用保守 ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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