住商・ENEOS参画のマレーシア水素事業休止 政府補助見込めず - 日本経済新聞
住友商事とENEOSが参画するマレーシアの水素事業が、政府補助の見込みが立たず休止となりました。
専門家の視点
本件は「期待先行」と「実体欠落」の二重構造です。マレーシア政府による大規模補助が前提だったプロジェクトが、補助見通しの不透明さで休止に追い込まれました。水素は製造コストが天然ガス比で数倍高く、現状では補助なしに市場競争力を持ち得ません。ここで見逃せないのは、日本企業が海外の「政府補助ありき」の事業設計に依存していた点です。国内の水素基本戦略でも供給目標は掲げられていますが、それを支える長期的な補助枠組みや価格差負担の制度設計は不十分なままです。つまり、実体(コスト競争力不足という物理制約)が物語(水素で脱炭素を実現するというビジョン)に追いついておらず、そのギャップを埋めるはずの補助制度という実体が欠けていたのです。次の観測点は、同様の構造を持つアンモニアや合成燃料など他の「次世代燃料」プロジェクトが、どの程度補助なしで事業化可能と見積もられているかです。時間軸で言えば、水素の本格普及は少なくとも2030年代後半以降に後退したと見るべきです。