再エネ・技術

伊藤忠エネクス株式会社

itcenex.com 2026-05-24
JR九州と伊藤忠エネクスが廃食用油由来の次世代バイオ燃料HVOを鉄道車両で実証試験を開始する動き。

専門家の視点

九州旅客鉄道と伊藤忠エネクスが開始する次世代バイオ燃料(HVO)の営業列車実証試験は、実体と物語の間に明確なズレが生じている構造です。 実体として、HVOは軽油とほぼ同等の化学構造を持ち、エンジンや設備の改造が不要なドロップイン燃料です。既存の鉄道車両に即座に適用できる技術であり、長崎本線や佐世保線などでの2年間の実証試験が現実に動いています。一方、物語としては「脱炭素社会の実現」「鉄道車両の脱炭素化」という壮大なビジョンが掲げられていますが、試験で使用される燃料は軽油にリニューアブルディーゼルを最大40%混合したものです。これは完全な脱炭素ではなく、部分的な代替に過ぎません。 このため、物語先走りの構造が生じています。ビジョンは100%の脱炭素を想起させるものの、実証の実体は40%混合という過渡的な取り組みであり、時間軸で見れば本格的な代替にはさらに長期的な検証とサプライチェーン構築が必要です。隠れた前提は「HVOの安定的な大量供給が可能である」という点ですが、原料である廃食用油や植物油の調達量には限界があり、全国規模での展開には資源制約が立ちはだかります。

JR九州グループでは、「JR九州グループ環境ビジョン2050」のもと、地球温暖化の原因となる GHG 排出量の削減など、脱炭素社会の実現に向けて環境と調和した事業展開を目指しています。 その取り組みの一環として鉄道車両の脱炭素化に向けて、次世代バイオ燃料(HVO)を軽油に代わる燃料として九州旅客鉄道株式会社保有車両に導入することを検討しています。今回、構内での試運転など必要な検証が完了したため、営業列車で実証試験を開始いたします。 次世代バイオ燃料(HVO)は廃食用油や植物油を原料とし、水素処理(加水素分解・脱酸素)によって精製された次世代の再生可能ディーゼル燃料です。 軽油とほぼ同等の化学構造を持つため、エンジンの改造や、燃料タンクなどの設備改修が不要なドロップイン燃料です。 なお、本実証試験においては、伊藤忠エネクス株式会社が製造・供給する「FINE DIESEL」を使用いたします。「FINE DIESEL」は、軽油に最大40%の「リニューアブルディーゼル(RD)」を混合した燃料です。 ■試験車両:YC1 系車両 ※3両編成のうち1両で、定期的にHVOを給油 ■試験期間 2026 年5月 27 日~2028 年3月(予定) ■走行線区 ・長崎本線・・・江北駅~長崎駅間(※長崎旧線含む) ・佐世保線・・・江北駅~佐世保駅間 ・大村線・・・早岐駅~諫早駅間 ※試験車両には右記ステッカーを車内・車外に掲示します。 【お問い合わせ先】 九州旅客鉄道株式会社 広報部 TEL:092-474-2541 伊藤忠エネクス株式会社 産業ビジネス部門 産業ビジネス開発部 環境商材販売課 TEL:03-4233-8073

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