CNなまちづくりへ 東京ガスが蕨市と協定締結 - ガスエネルギー新聞
東京ガスと蕨市がカーボンニュートラルなまちづくりに向けた包括連携協定を締結した。
専門家の視点
東京ガスと蕨市の協定締結は、「CNなまちづくり」という物語を共有する点では整合していますが、実体面で誰が何を実行するのかという実行レイヤーが曖昧な構造です。蕨市が50年ゼロカーボンシティを宣言した背景には、都市ガスインフラの既存設備を活かした脱炭素化という東京ガス側の事業戦略が隠れています。しかし、協定の具体的なKPIや工程表、導入技術の実証スケジュールが記事からは見えません。ここでの中心的なズレは「物語先走り」です。ビジョンとしてのCNなまちづくりは掲げられたものの、その実現手段である水素混焼やカーボンリサイクルなどの技術はまだコスト面で社会実装の壁があり、都市ガス事業の収益構造を大きく変える時間軸は2030年以降です。また、この協定は蕨市民や地域事業者が「誰の責任で」「どのような負担で」行動を変えるのかという実行主体を明確にしておらず、自治体とエネルギー企業の間で役割が抽象的なままです。隠れた前提として、都市ガスネットワークを維持しながらの脱炭素が唯一の道であるかのようなフレーミングがありますが、地域熱供給やオール電化との比較検討はなく、技術選択肢が狭められています。