制度・政策

岩手県八幡平市の「水稲中干し」プロジェクトがJ-クレジット認証 - 東北ITトレンド

東北ITトレンド 2026-05-21
岩手県八幡平市の水田における水稲中干しプロジェクトがJ-クレジット認証を取得した事例。

専門家の視点

このプロジェクトは、田んぼの水を一時的に抜く「中干し」期間を延長し、土壌からのメタン発生を抑制するという、技術的に確立された方法でクレジットを獲得した点が実体としての核です。しかし物語には重大な省略があります。「誰がこの追加的な作業を担うのか」という実行レイヤーの欠落です。中干しは農家の既存の営農に手間を加えるものであり、クレジット収益がその追加労働を補償する設計になっているかが明示されていません。ここに構造的なズレがあります。認証という実体が先行し、農家の現場での受け入れや経済合理性の説明という物語が追いついておらず、期待(環境価値への関心)だけが高まる物語先走りの構図と言えます。ではなぜこのズレが問題かと言えば、J-クレジットの市場価格が低迷すれば、手間だけが残るからです。次の観測点は、このクレジットが実際にどの程度の単価で売却され、農家の手取りがいくらになるのかという経済実態です。クレジット認証はスタートラインであり、持続可能な農業経営の文脈に載せられて初めて意味を持ちますが、現状は認証という通過点が目的化している印象を免れません。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る