最終回:脱炭素×金融の実践とは ~結局のところと今できる実践~ - nikkinonline.com
脱炭素と金融の具体的な実践方法を解説した連載の最終回で、企業が今とれる実践的な取り組みをまとめている
専門家の視点
実体と物語と期待の間に、明確なズレが二重に存在する構造です。第一に、実体としての脱炭素投資は長期回収型であり、金融機関の短期的なリスク評価や融資期間と整合しにくいという制度的非対称性が横たわっています。連載は「実践」を説きますが、その「実践」を実行する人材や組織内での優先順位付けという実行レイヤーが依然として曖昧なままです。第二に、物語は「今できること」に焦点を当て、手触り感のある前進を描く一方で、その効果を測るKPIや検証方法が提示されないままです。これにより、期待だけが先行しやすい危険性があります。つまり、この連載の構造は「実体が翻訳されきっていない」状態と「物語先走り」の両方が同居していると言えます。企業が実際に排出量削減と資金調達を両立させるためには、物語だけではなく、自社のバリューチェーン全体における排出量データの可視化と、それを金融機関が評価するための共通フレームワークの整備という、もう一段階踏み込んだ実体の構築が不可欠です。結局のところ、脱炭素金融の実践を止めているのは、熱意の不足ではなく、測定と評価の制度設計の遅れという、より構造的な要因です。