【鉄鋼3社の最新序列】日本製鉄が大幅減益で序列激変!中東情勢の影響が長期化すれば神戸 ...
専門家の視点
日本製鉄の減益と中東情勢の長期化リスクが報じられる一方、JFE専門主監が語る鉄鋼業界の脱炭素の困難さは、実体と物語の間に明確なズレがあります。実体として、鉄鋼業は高炉からのCO2排出削減に必要な水素還元技術が商用化の見通しを立てられず、設備投資の経済合理性も不透明です。一方、物語として「脱炭素に取り組んでいる」というフレームは存在するものの、具体的な技術経路やKPIが業界全体で共有されていません。ここにあるのは「物語先行」の構造です。 中東情勢による原料価格変動が長期化すれば、脱炭素投資の原資がさらに絞られます。隠れた前提は「鉄鋼3社が同じ競争条件で脱炭素を進められる」という点です。実際には、減益幅の差が投資余力を左右し、序列変動は脱炭素のペース差を拡大させる可能性が高いです。次の観測点は、各社の水素還元実証プラントの具体的な稼働時期と、政府の支援策が減益企業にどこまで手厚くなるかです。脱炭素と収益性の両立は、このままではより困難になるでしょう。
市場環境の悪化が続く鉄鋼業界に、中東情勢が追い打ちをかけている。2026年3月期決算では、日本製鉄が大幅減益に沈み、JFEホールディングス(HD)と神戸製鋼所を含めた3社で序列の大逆転が生じた。各社の27年3月期の業績見通しでは、序列は元通りとなりそうだが、実は、中東情勢の緊迫化が長引いた場合、日鉄とJFE HDの「V字回復プラン」は水泡に帰しかねない。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】』の本稿では、鉄鋼大手3社の浮沈を描くとともに、中東情勢の影響が業界序列を再び大きく揺るがしかねない実態を解説していく。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎) 鉄鋼業界が苦境にあえいでいる。国内では内需縮小が続いており、自動車や土木、建築など、どの分野でも大幅な成長が見込めない状況が続いているのだ。 海外市場では、中国勢の安値輸出が高水準を保っており、アジアを中心に鉄鋼の市場環境をより一層厳しいものにしている。 そんな中、日本勢は、北米やインドなど成長領域に資源を集中投下することで生き残りを図っている。昨年6月、日本製鉄が米USスチールを約2兆円で買収したことが代表例だ(日鉄のUSスチール買収については、連載『鉄鋼 大乱戦!』の『日本製鉄のUSスチール買収は完全子会社化で決着!3.6兆円ディールに日鉄が支払う「代償」とは?』参照)。 ところが2025年度は、収益貢献が期待されたUSスチールが買収1年目から“大ゴケ”するなど、波乱の展開となっている。次ページで見るように、国内鉄鋼大手で序列の「大逆転」が起きているのだ。 26年度も鉄鋼大手3社の序列が目まぐるしく変わりそうだ。これまで続いてきた市場環境の悪化に加えて、中東情勢が影を落としているためだ。ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴うエネルギー価格の高騰は、物流コストのアップなど鉄鋼メーカーにとっても打撃だ。 中東情勢の先行きが不透明な上、影響額の算出が困難なため、日鉄とJFEホールディングス(HD)は中東影響を26年度業績見通しに織り込んでいない。だが、両社の決算資料で想定されている中東影響が長引くと仮定すると、両社の「V字回復プラン」は瓦解しかねない。 26年度の鉄鋼大手3社の序列はどうなるのだろうか。24年度に純利益でJFE HDを上回り“下克上”を果たした神戸製鋼所は、JFE HDに勝ち続けて“2位固め”をすることができるのだろうか。 次ページでは、鉄鋼3社の浮沈を描くとともに、試算から判明した26年度の最新序列を明らかにする。
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。
配信元の記事を読む →