畜産酪農業界の脱炭素化へ企業間連携 - JA全農ウィークリー
専門家の視点
畜産業界の排出量算定方法そのものが未確立であるという現実を、業界4社と全農が「ラウンドテーブル」組成という形で受け止め、簡易算定ツールとガイドの制作に着手したことは、実体が翻訳されつつある動きです。これまで算定の複雑さが障壁となり、排出量の「見える化」すら進まなかった領域で、環境省事業とコンサルティングを活用し、農水省との協議を経た制度設計を始めた点は評価できます。しかし、課題はその先にあります。ツールやガイドが完成した後、それを実際に全国の畜産農家が導入・運用できるかという実行レイヤーです。本記事は「業界一体となり取り組みを進める」と結んでいますが、現場の農家のデジタルリテラシーやコスト負担といった実装の現実には踏み込んでいません。物語は制度設計まで示していますが、実行主体の具体像が欠けているのです。次の観測点は、このラウンドテーブルが業界横断の実効性を持つのか、それとも参加4社の範囲に留まるのかです。日本の畜産構造は零細農家も多く、排出量算定の負荷が大きすぎれば実装は進みません。GX人材に求められるのは、このような制度と現場の非対称性を解消する設計力です。
全農は2026年3月5日に開催された脱炭素経営フォーラムで、環境省事業「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」の取り組み成果を発表し、畜産業界の排出量削減に向けた方向性を示しました。 畜産業界においては、家畜由来の温室効果ガス排出量削減の対応が求められる一方、その算定方法は複雑で、排出量の算定方法そのものが確立していないのが現状です。 こうしたなか、食肉業界の大手メーカーである、日本ハム(株)、プリマハム(株)、伊藤ハム米久HD(株)、スターゼン(株)の4社と本会が「畜産酪農サステナビリティラウンドテーブル」を組成、環境省事業を活用し、デロイトトーマツ社によるコンサルティングや農水省との協議を通じて簡易算定ツールや算定ガイドの制作に着手しました。 今後も「畜産酪農サステナビリティラウンドテーブル」の活動を継続し、国が地球温暖化対策計画で掲げる目標「フードサプライチェーンを通じた脱炭素の実践とその可視化の推進」の実現に向けて、業界一体となり、取り組みを進めていきます。
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