【日本】政府、地域ブロック毎の戦略産業分野提示。今後自治体がプロジェクトと計画を検討
政府の「戦略産業クラスター計画の素案」で全国10地域ブロック毎の戦略産業分野が提示され、自治体が今後プロジェクトと計画を検討する。
専門家の視点
内閣府の副大臣等会議が全国10地域ブロックごとに戦略産業分野の素案を示した今回の動きは、実体と物語の間に構造的なズレを抱えています。実体として見えるのは、政府が地域ブロック単位で産業クラスター政策を推進する枠組みを提示した事実です。しかし、肝心の「誰が実行するのか」という実行レイヤーが不明瞭です。各自治体が今後プロジェクトと計画を検討する段階ですが、自治体のGX人材や予算、技術評価能力が地域ごとに大きく異なる点については、今回の素案では触れられていません。物語としては全国一律の「戦略産業クラスター」というビジョンが先行しており、地域間の格差や中小企業の実態が十分に翻訳されていない印象です。特に注目すべきは、高市首相が2月に表明した方針が5月に素案化されるまでのスピードです。この速さは「期待先行」のリスクを示唆しています。政府が示した分野案に沿って自治体が計画を急ぐあまり、地場産業の実需や既存のサプライチェーンとの整合性が軽視される可能性があります。隠れた前提は「全国に等しく実行能力がある」という点です。これを問い直すなら、実行主体の能力差を埋める制度的補完が欠けています。