企業動向

建築費高騰、環境対策、都市・住宅政策など5つの活動に力 不動産協会・吉田理事長

2026-05-21
不動産協会が2050年カーボンニュートラル達成に向けた建物の排出削減とサプライチェーンGX推進を活動の柱に据える方針を示した。

専門家の視点

本稿は不動産協会が5つの活動方針を表明したものですが、実質的な内容は総論的な方向性にとどまり、具体的な数値目標や投資規模は示されていません。環境政策では「2050年カーボンニュートラル」や「2030年ZEH・ZEB水準の義務化」といった政府方針を引用するにとどまり、協会独自の削減コミットメントは欠落しています。建築費高騰を深刻な課題と語る一方で、その解決策として建設業界との「協議体」設立を挙げますが、具体的なKPIや工程はなく、主語が「業界全体で」と曖昧化されています。また、過去1年の投機的短期転売対策を「フォローしてまいります」と述べる部分は、過去の計画を現在の継続的成果として語る時制の操作が見られます。都市政策では「国際競争力強化」や「ウェルビーイング」といった概念を掲げますが、誰の利益を優先するかが不明確で、テナントや住民の視点が省略されています。総じて、目的(GX推進)と手段(協議体設置・税制要望)が倒置し、規模と効果のギャップが大きい内容です。日本企業はこうした総論表明に安住せず、GX人材は自社の具体的な削減計画と投資対効果を数値で示す責任を負うべきです。

不動産協会は5月21日、通常総会後の懇親会を開催。吉田淳一理事長(三菱地所取締役会長)は次のようにあいさつした。 本日は、公務ご多忙中にもかかわらず、金子恭之国土交通大臣、永井大臣政務官にご出席賜りますとともに、日頃からご支援・ご協力をいただいております関係省庁や友好団体、報道関係の皆様にも、多数のご出席をいただき、誠にありがとうございます。まず本日、当協会の定時総会が滞りなく終了いたしましたことをご報告させていただきます。 さて、国際情勢に目を向けますと、中東情勢の先行きが見通しづらい状況であり、今後も注視していく必要があります。 一方で、我が国の経済は、全体としては堅調に推移しているものの、物価上昇への対応等の課題に直面しています。不動産業を取り巻く環境においても、マーケットは総じて安定的に推移しているものの、建築費の高騰や金利の先高感など、確実に厳しさを増しつつあります。 中でも、建築費の高騰は、事業の持続可能性はもとより、市街地再開発などの都市再生、ひいては日本の経済成長に深刻な影響を及ぼす大きな課題と考えております。 この課題については、国土交通省のご協力のもと、今後日建連と合同で立ち上げる「協議体」の場で、不動産業界と建設業界が同じ方向を向いて、「担い手確保」「労務費の行き渡り」「生産性の向上」等について忌憚のない議論を行ってまいりたいと思います。 これらの状況も踏まえ、当協会といたしましては、これから申し上げる活動に重点的に取り組んでまいります。 第一に、環境政策に関する取組みです。環境政策のテーマは、「2050年カーボンニュートラル達成に向けた、建物の排出削減と経済成長の両立と、サプライチェーンでのGX推進加速による社会的要請への対応」です。2050年への道筋として、新築物件における2030年のZEH・ZEB水準の義務化、さらに、2035年や2040年に向けたエネルギー政策が示される中、省エネと再エネの両輪でさらに取り組みを加速して参ります。 また、引き続き中高層建築物における木材利用の普及を進めるほか、ライフサイクルカーボンの算定・届出の法制化や、サステナビリティにかかる情報開示に向けての対応を図ってまいります。 第二に、都市政策に関する取組みです。都市政策のテーマは、「成熟社会における人々の「共感」を呼ぶ国際競争力強化に資する持続可能なまちづくり」です。少子高齢化・人口減少の進行、自然災害リスクの増大や建築費の高騰といった課題に加え、ウェルビーイングの向上をはじめとした都市に求められるニーズも多様化しております。 都市の個性を磨き、新たな価値創造やイノベーションを創出する、災害に対するレジリエンスを強化するといった、まちを「つくる」ということに加え、まちを「育て、活かす」という視点で、引き続き、既存ストックの利活用の促進、持続可能なエリアマネジメン体制の構築に取り組んで参ります。 第三に、住宅政策に関する取組みです。住宅政策のテーマは、「安心・安全に誰もが暮らせる住まいの確保と既存ストックの有効活用、住宅・建築物における持続可能な社会の構築」です。4月に施行された改正マンション関係法に基づき、多世代にわたり活用されるストックを形成し、適正な維持管理等を通じて市場で適正に評価され、循環するシステムの構築を目指します。 また、こどもや高齢者、障害者の方々を含め、誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向けて、新築住宅の供給と既存住宅の機能更新の両面で、支援の拡充等に必要な取り組みを展開して参ります。 加えて、老朽化マンションの建替えが円滑に進むよう、事業のボトルネックとなっている手続き等について、引き続き見直しを求めて参ります。 第四に、税制改正に関する取組みです。今年度期限を迎える、土地固定資産税の負担調整措置等の重要項目をはじめ、GXやDXの推進やイノベーション創出、経済社会構造の変化等に伴う課題に対応した環境、都市、住宅等の政策推進に関連し必要な税制の検討を行い、令和9年度税制改正要望をとりまとめて参ります。 第五としまして、昨年より対応を進めてまいりました「投機的短期転売問題」については、昨年11月に当協会から発信した対策について、会員企業各社の取り組みを引き続きフォローしてまいります。 不動産協会としては、これらの活動を通じ、魅力的なまちづくりや豊かな住生活の実現、さらには我が国経済の成長に貢献していきたいと思っております。 さて、話は変わりますが、いよいよ来年3月から横浜市で開催される「国際園芸博覧会」の開催まで1年を切りました。このイベントは、国土交通省をはじめ関係省庁、地方自治体、関連団体が連携して推進している、首都圏で初のA1(エーワン)クラスの国際園芸博覧会です。 本博覧会は、我が国の魅力や技術

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