レドックスフローで系統用蓄電池、美樹工業が開発 - ニュース - メガソーラービジネス plus : 日経BP
専門家の視点
美樹工業がレドックスフロー電池を系統用蓄電池として開発したとの報道は、技術的な進展を示す一方で、実用化に向けた課題を浮き彫りにしています。実体としては、開発主体が中小企業である点が注目されますが、記事からは具体的な容量やコスト、導入時期といった数値が明らかにされていません。物語としては、「系統用蓄電池」というキーワードで再生可能エネルギーの安定化に貢献する将来像が強調される一方、技術成熟度や経済性の検証が不足している可能性があります。読者は蓄電池の大量導入を期待しますが、レドックスフロー方式はリチウムイオンと比較してエネルギー密度やコスト面で課題が残り、実証段階から商用規模への展開には時間がかかるでしょう。ここには規模と効果のギャップが潜んでおり、開発成功のニュースが即座に系統安定化に寄与するかのような印象を与えかねません。また、美樹工業単独の開発努力が語られる一方、協業先や需要家、補助金の有無など利害関係者の詳細は省略されています。日本企業・GX人材は、技術開発のアナウンスに踊らされず、導入時の総費用対効果を自ら検証する批判的視点を持つべきです。
エナリス(東京都千代田区)は5月18日、美樹工業が開発を進めている兵庫県太子町の系統用蓄電池「阿曽蓄電所」の運用を受託したと発表した。同蓄電所は、住友電気工業製のバナジウムレドックスフロー電池を採用し、2027年12月の運用開始を目指す。 蓄電池システムの定格出力は1998kW、容量は8000kWh。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)とリース共同申請を行ったほか、経済産業省の令和7年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択された。 エナリスは、2016年から経済産業省のVPP(仮想発電所)実証事業に参画し、蓄電池などの分散型電源を制御・活用する仕組みを構築してきた。2018年には独自の分散型電源制御「DERMS」を開発し、SaaS(サース=Software as a Service)方式による提供や電力取引代行などを展開している。 同蓄電所では、日本卸電力取引所(JEPX)、需給調整市場、容量市場の電力3市場を適時適切に活用する運用代行を請け負うほか、分散型電源制御、電力販売代行、運用コンサルティングなど、系統用蓄電池の運用を包括的にサポートする。 住友電工製のレドックスフロー電池は、原理上電解液が劣化しない長寿命、不燃電解液と難燃性部材を用いた高い安全性、リサイクル・リユース可能で環境負荷が低いのが特徴という。また、セキュリティ適合レベルを示すJC-STAR、廃棄物処理法の特例制度である広域認定を取得済み。 経産省の令和7年度補助金では、住友電工製のレドックスフロー電池を採用した系統用蓄電事業として、阿曽蓄電所のほか、RS Technologies(RSテクノロジーズ)が開発する福島県浪江町の出力2MW・容量12MWh、RYODEN(リョーデン)と日本エネルギー総合システム(高松市)が開発する鳥取県倉吉市の出力2MW・容量6MWhの3件が採択されている。 RYODENは、1月30日に補助金事業に採択されたことをリリースしており、その中で、レドックスフロー電池のリチウムイオン電池に対する優位性として、電解液が劣化せず、不燃性であることなどによる「30年の長期安定運用」「高い安全性と環境性」を挙げている。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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