ハンブルク港経由で液化水素を欧州に 全角スペースダイムラーや川重が協業
独ダイムラー・トラックと川崎重工などが協業し、液化水素を独ハンブルク港経由で欧州に供給する計画を発表。
専門家の視点
ハンブルク港を経由した液化水素の欧州供給網構築は、川崎重工が持つ液化水素輸送技術と、ダイムラー・トラックが持つ燃料電池商用車の実用化経験を結びつける試みです。ここで注目すべきは、実体と物語の間に構造的なズレが生じている点です。実体としては、液化水素の長距離海上輸送はコストとエネルギー損失の面で極めて高いハードルがあり、現時点では実証段階を超えた商業ベースでの確立に至っていません。一方、物語は「欧州での水素サプライチェーン構築」という壮大なビジョンを掲げていますが、KPIや段階的な導入スケジュールが不明瞭です。このズレの核心は、時間軸の非対称性にあります。供給網の整備には10年単位の投資と規制調和が必要ですが、商用車の需要サイドは2020年代後半からの導入を期待しています。結果として、期待先行で市場が走り、実体が追いつかない構図が浮かび上がります。隠れた前提は、「液化水素が欧州全域で最適な水素運搬手段である」という点です。実際には、パイプラインやアンモニア経由の水素運搬も競合しており、本協業がどのモードで競争優位を築くのかは明示されていません。