EU・ブラジル・中国、炭素市場の透明性強化へ新連合を発足 - ESG Journal
EU・ブラジル・中国が炭素市場の透明性を強化する新連合を発足し、国際的な炭素取引ルールが変更される見通し。
専門家の視点
EU・ブラジル・中国が炭素市場の透明性を強化する新連合を発足したという発表ですが、ここには「物語先行」の構造があります。実体として、炭素市場の透明性は既存の国際ルール(パリ協定第6条など)でも議論されていますが、実際に統一基準が運用されるには、各国の排出量算定方法やMRV(計測・報告・検証)体制の非対称性が大きな壁です。EUは独自の炭素国境調整メカニズムを導入済みで、中国は国内排出権取引を試験的に進める段階であり、ブラジルは森林由来クレジットに依存するなど、三者の実体技術水準は大きく異なります。連合の目的は「透明性」ですが、その透明性を誰が担保し、どのKPIで検証するのかが示されていません。期待レイヤーでは、投資家がこの連合を「炭素クレジット信用度向上の兆候」と過度に評価し、実需より先に市場が反応するリスクがあります。隠れた前提は「透明性の向上が市場拡大に直結する」という点です。しかし、透明性が高まるほど、質の低いクレジットの排除が進み、却って取引量が縮小する可能性もあります。次の観測点は、この連合が具体的な基準案とエンフォースメントの仕組みをいつ公表するかです。