政治リスク顕在化も、エネルギー安保が再エネに追い風 - 日経クロステック
政治リスクが顕在化する中、エネルギー安全保障の観点から再生可能エネルギーへの追い風が強まっているとする記事
専門家の視点
政治リスクの顕在化とエネルギー安全保障という物語が、再生可能エネルギーへの追い風として語られる構図は、期待先行の構造です。事実として、ロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギーの安定調達は各国の最優先課題となり、再エネ導入の機運が高まったことは確かです。しかし、この物語には「誰が実行するのか」という実行レイヤーが欠落しています。再エネの導入拡大には送電網の増強や蓄電設備の整備、系統連系の手続き迅速化といった制度的な実体が伴わなければなりません。日本ではFIT制度の出口問題や地域間連系線の制約が解消されておらず、技術的・物理的な制約は依然として大きいままです。また、政治リスクが顕在化した場合、再エネは地政学的リスクが低い一方で、天候依存性や設備の長期停止リスクという別種の脆弱性を抱えます。物語が強調する安全保障メリットの裏で、供給安定性の実証というKPIが曖昧なまま進むと、期待が先行する危険があります。隠れた前提は「政治リスクが常に再エネ追い風になる」という点であり、実際にはエネルギー価格高騰が再エネコスト競争力を削ぐ逆風に転じる可能性にも目を向ける必要があります。