企業動向

今治の造船業、脱炭素時代に挑む 新燃料船対応で設備投資相次ぐ - 日本経済新聞

日本経済新聞 2026-05-18
今治の造船業界が脱炭素時代に対応し、新燃料船向け設備投資を相次いで行っている。

専門家の視点

今治の造船業界は、脱炭素時代を見据え、LNGやアンモニア、水素などの新燃料船に対応するための設備投資を複数の企業が同時並行で進めています。この投資行動は、実体としての市場変化(海運大手の脱炭素要求やIMO規制の厳格化)への直接的な反応であり、日本が持つ造船技術の強みを生かそうとする物語に沿ったものです。しかし、構造的なズレは「期待先行」の側面にあります。新燃料船の需要はまだ立ち上がっておらず、港湾インフラや燃料供給網の整備が追いついていない中で、設備投資だけが先行しているからです。また、実行レイヤーとして、設備導入後のオペレーション人材や、新燃料の安全基準を検証する制度の整備が追いついていない点も見逃せません。日本企業のGX人材にとって、ここで問われるのは「投資の可逆性」です。設備が専用化されるほど、将来の燃料転換への柔軟性を失うというリスクとどう折り合うか。今治の動きは、脱炭素という物語に実体が追いつくまでの時間差を、現場がどう埋めるかの試金石です。

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