「CCS事業法」が施行へ、NGOは脱炭素移行の遅れを懸念 - alterna.co.jp
CCS事業法の施行が決定したが、NGOはこれにより本格的な脱炭素への移行が遅れると懸念を示している。
専門家の視点
CCS事業法の施行という制度上の実体が動き始めた一方で、NGOが指摘する「脱炭素移行の遅れ」という物語との間に明確なズレが生じています。実体としては、CCS(二酸化炭素回収・貯留)の事業環境が整備されることで、排出削減が難しい産業でのCO2処理が可能になるという物理的・経済的合理性があります。しかし、物語の側では、CCSが「排出を先送りする技術」としてフレーミングされ、本質的な排出削減行動を遅らせる懸念が強調されています。ここに「物語先走り」の構造があります。NGOの懸念は、CCSが実体として機能しても、社会全体の排出削減ペースを緩めるリスクを指摘している点で正当性を持ちますが、同時にCCSなしでは到達できない排出量目標があるという現実との調整が不足しています。隠れた前提は「CCSがなくても脱炭素は達成可能」という楽観論です。実際には、鉄鋼やセメントなど代替技術が限られる産業では、CCSは不可欠な実体です。今後の観測点は、この法制度が実際にどの程度のCO2貯留量を実現し、同時に排出源での削減投資を阻害しないバランスを取れるかです。