制度・政策

石炭回帰に傾くアジア イラン軍事衝突が遠ざける脱炭素 - 日本経済新聞

2026-05-19
イラン軍事衝突を背景に、アジア諸国がエネルギー安全保障の観点から石炭への回帰を進めており、脱炭素の流れが遠のいている状況を伝える記事。

専門家の視点

SNEモデルに基づき分析します。 まず実体です。イラン軍事衝突によるホルムズ海峡封鎖リスクは、アジアの石油・LNG調達に物理的制約をもたらします。この現実に対し、即効性のあるエネルギー確保手段として石炭が浮上します。石炭は調達先が多様で、備蓄や価格安定性の面で短期的な現実解です。 次に物語です。記事は「石炭回帰」を脱炭素目標との矛盾としてフレーミングしますが、ここに構造的なズレがあります。記事はアジア各国のエネルギー安全保障と脱炭素目標のトレードオフを「後退」と描きますが、実際には多くの国が石炭をベースロード電源としながら再生可能エネルギーを段階的に拡大する計画を既に持っています。 さらに期待です。投資家や国際社会はアジアの石炭シフトを脱炭素後退と受け止め、資本撤退や批判を強めるでしょう。しかし、現地の市民や政府はエネルギー価格高騰や停電リスクを目前にして、脱炭素より安定供給を優先する期待が強まります。 ここでの構造的ズレは「物語先走り」です。国際的な脱炭素物語は壮大ですが、アジアの実体はエネルギー安全保障という生存基盤の危機に直面しており、その物語が実体に追いついていません。

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