ガス石油省エネ給湯機の普及へ、業界横断の新団体 - 東京都宅建協会
専門家の視点
ガス石油省エネ給湯機普及促進会議が発足しましたが、ここには「期待先行」と「実体欠落」が重なる構造があります。2050年カーボンニュートラルに向け、家庭部門の給湯消費27.2%を削減する必要があるという現実(実体)は確かです。しかし、設立記者会見で語られたのは普及目標(35年度出荷比率75%)や活動予定(WG月1回開催)といった物語であり、肝心の「消費者がなぜ導入するのか」という需要側の経済合理性が弱いままです。 特に、賃貸住宅オーナーはランニングコスト削減の直接受益者ではなく、設備投資の回収が難しいという課題が記事にも明記されています。また、ドレン水処理の自治体ごとの判断差という制度上の非対称性が放置されたまま、24団体が会合を開くだけでは実行レイヤーが機能しません。 この構造で見落とされている隠れた前提は、「業界横断の団体を作れば普及が加速する」という考え方です。実際には、個別の自治体規制の統一や、賃貸市場における省エネ価値の家賃転嫁メカニズムといった、協会の枠を超えた制度設計が抜け落ちています。
「ガス石油省エネ給湯機普及促進会議」参加団体の代表者ら ガス石油省エネ給湯機(ハイブリッド給湯機、エネファーム、エコジョーズ、エコフィール)の普及を目的に、給湯機メーカー、エネルギー事業者、関連する流通、住宅、消費者の計24団体(※)による「ガス石油省エネ給湯機普及促進会議(通称:スマいる給湯プロジェクト)」が発足。19日に第1回全体会議を開催。その後、TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)で記者会見が行なわれた。 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国は温室効果ガス削減目標として、13年度比で35年度60%削減、40年度73%削減を掲げている。そうした中、家庭部門の用途別エネルギー消費は「給湯」が27.2%を占め、目標達成にはガス石油省エネ給湯機の普及が鍵になる。省エネ機器の導入により、年間約13〜52%のCO2削減が期待される一方、その普及に当たっては「消費者が機器の存在や経済的メリットを知らない」「ランニングコストの低減というメリットが賃貸住宅オーナーや管理会社の導入動機につながっていない」「自治体によってドレン水(空調や給湯などの機器から発生する結露水や燃焼排水)処理の判断が異なる」「ドレン水排水工事のハードルが高い」などの課題がある。 そこで、これらの課題解決のため、機器の製造、流通、普及に関わる多様なステークホルダーが横断的に情報共有し、連携・協働する場として、同団体を設立したもの。座長は芝浦工業大学建築学部長の秋元孝之氏、事務局は(一社)日本ガス石油機器工業会が務める。 35年度の省エネ機器出荷比率75%(25年度は45%)を目指し、雨水排水許可自治体の拡大や賃貸住宅への省エネ価値浸透、GX ZEH住宅への標準採用などに向けたさまざまな取り組みを進める。当面は、「普及PR活動WG」「ドレン施工WG」を1ヵ月ごとに開催。11月に第2回全体会議を予定している。 会見の冒頭、挨拶した秋元氏は「ガス石油を活用した高効率給湯機は、優れた省エネルギー性能を有する。加えて、エネルギー供給の多様性確保や災害時のレジリエンス向上の観点からも重要な役割を担っている。当団体を通じ、多様なステークホルダーがこれまで以上に連携し、機器のさらなる普及促進を図っていきたい」と抱負を述べた。 ※運営管理団体:(一社)日本ガス石油機器工業会、(一社)日本ガス協会、日本LPガス団体協議会、(一社)全国LPガス協会、(一社)日本コミュニティガス協会、燃料電池実用化推進協議会、参画団体:(一社)JBN・全国工務店協会、(一財)住宅生産振興財団、(一社)住宅生産団体連合会、(一社)住宅リフォーム推進協議会、(一社)全国住宅産業協会、(公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会、(一社)日本住宅リフォーム産業協会、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、(公財)日本賃貸住宅管理協会、(一社)日本ツーバイフォー建築協会、(一社)日本木造住宅産業協会、(一社)不動産協会、(一社)プレハブ建築協会、(一社)ベターライフリフォーム協会、(一社)マンションリフォーム推進協議会、(一社)リビングアメニティ協会、(一社)輸入住宅産業協会、オブザーバー:(一財)ベターリビング、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課、製造産業局生活製品課住宅産業室、国土交通省住宅局住宅生産課、環境省地球環境局デコ活応援隊(脱炭素ライフスタイル推進室) 出典:最新不動産ニュースサイト R.E.port 1997 株式会社不動産流通研究所
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